中国証券投資基金業協会(AMAC)は11月10日、中国として初の公式なESG投資指針となる「中国上場企業ESG評価体系研究報告(中国上市公司ESG评价体系研究报告)」と「グリーンファイナンス・ガイドライン(绿色投资指引)暫定版」を発表した。同協会は2012年に設立した自主規制業界団体で、全国の運用会社、ファンド販売会社、カストディアン等が加盟している。
発表に際し、同協会の陳春艶秘書長は、ESG投資とグリーンファンドの発展には、市場関係者の自主的な発展、業界の多様な模索、社会全体の共同努力が欠かせないと表明。ESG投資の発展の必要性と期待感を見せた。
「中国上場企業ESG評価体系研究報告」では、ESGを測定する指標体系を整理。GRI、SASB、ISO260000を世界最大フレームワークと位置づけ、さらにOECDコーポレート・ガバナンス原則、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)、国連責任投資原則(PRI)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、国連持続可能な証券取引所(SSE)イニシアチブ等を横断的に研究。その上で、ESG評価体系やESGインデックスの精度や透明性はまだ不足しており、既存のESG評価機関やインデックス開発会社がコンサルティングサービス等にも乗り出す上で、利益相反の恐れもあるとした。今後に向けては、中国の状況にあったESG評価体系の整備、分類定義の確立を提言。上場企業向けのESG報告制度を導入すべきとした。
「グリーンファイナンス・ガイドライン暫定版」では、運用会社に向けグリーンファイナンスの意義、目的、原則等を記述。中国国内のグリーンボンドやグリーンファイナンスに関する原則や、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド(GBP)、気候債券イニシアチブ(CBI)のグリーンボンド基準(CBS)の内容を自主的に適用すべきとした。また社内に専門部署を設置し、運営ファンドの環境リスクマネジメント、負の環境インパクト測定、正の環境インパクト測定、環境情報開示基準設定を実施すべきとした。中国では「暫定版」の文書は、正式版と同様の効力を持つことが多く、そのまま正式版が発表されないこともある。
中国政府の中国証券監督管理委員会は9月30日、上場企業向けコーポレートガバナンス・ルール「上市公司治理准则」を改訂し、ESGを盛り込む動きを見せており、ESG分野に一気に拍車をかけてきている。
【参照ページ】基金业协会发布《中国上市公司ESG评价体系研究报告》和《绿色投资指引(试行)》
【報告書】中国上市公司ESG评价体系研究报告(序言)
【報告書】【协会报告】中国上市公司ESG评价体系研究报告(一)
【報告書】【协会报告】中国上市公司ESG评价体系研究报告(二)
【ガイドライン】绿色投资指引(试行)
【ルール】证监会发布修订后的《上市公司治理准则》
【機関サイト】中国証券投資基金業協会
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