国際的な気候変動情報開示推進NGOのCDPと、気候変動関連情報開示標準化の国際イニシアチブCDSB(気候変動開示基準委員会)は11月29日、2014年EU非財務情報開示(NFR)指令が2017年度の企業報告から適用されたことに伴い、適用初年度の気候変動関連の開示状況を分析したレポートを発表した。分析では、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインも考慮された。
今回の分析では、EU大手企業80社(時価総額合計3.75兆ユーロ)を分析対象とした。結果、99%の企業は、1つ以上の主要な非財務情報関連に関するポリシーアプローチを開示しており、事業投資やファイナンスにおける環境または気候変動の影響を開示している企業も76%あった。気候変動や環境分野のリスクを1つ以上特定している企業も79%あった。
一方、気候変動や環境リスクのデューデリジェンスプロセスの例を記載している企業は48%と半数を割り、環境や気候変動リスクの時間軸を特定している企業はわずか13%しかなかった。二酸化炭素排出量をスコープ3まで開示している企業は39%、削減目標設定でも41%に留まった。
TCFD関連では、気候変動課題について取締役会レベルで監督している企業は75%にのぼるも、気候変動における取締役の役割設定まで言及している企業は64%と下がる。TCFDガイドラインに完全に沿う情報開示をすでに実現できている企業は唯一ユニリーバだけだった。
CDPとCDSBは、今後も調査を継続すると共に、情報開示の強化に向け、欧州委員会等に対しても提言を続けていく構えを見せている。
【参照ページ】First Steps: Corporate climate & environmental disclosure under the EU Non-Financial Reporting Directive
【レポート】First Steps: Corporate climate & environmental disclosure under the EU Non-Financial Reporting Directive
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