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【日本】改正漁業法、成立。個別割当(IQ)方式による持続可能な漁業確立や漁業への企業参入促進が柱

 参議院は12月8日、改正漁業法を可決。同法が成立した。衆議院は11月29日にすでに可決している。漁業権を地元漁業協同組合(漁協)に優先的に与える規定を廃止し、主に養殖業に企業参入を促すことや、個別割当(IQ)方式導入により水産資源量を回復させることが柱。運用の仕組み等を定め、公布から2年以内に施行する。

 今回の法改正の背景には、日本の漁業・養殖業が壊滅的に減衰していることがある。日本の漁業生産量は1984年のピーク時に比べ3分の1にまで低下。それに伴い経営状況も厳しく、補助金分を除くと7割の漁協が赤字に陥っている。漁業生産量減少の背景には、海域での乱獲が主な原因とみられており、漁業者の高齢化や後継者不足も影響を与えている。その中で、天然漁から養殖へと活路を見出す動きもあるが、漁協単独で養殖を担うのは難しい現状もある。

【参考】【食糧】持続可能な漁業と水産資源管理 〜日本の食卓から魚はなくなるのか?〜(2015年8月4日)
【参考】【日本】政府、水産資源管理に最大持続生産量(MSY)概念導入。規制対象魚種を大幅拡大の方向(2018年6月7日)

 政府は2017年から漁業改革に乗り出し、2017年4月に新たな「水産基本計画」を策定。2018年6月に「農林水産業・地域の活力創造プラン」を改訂し、漁業資源量の自然回復力の考え方を踏まえた最適な資源量として「最大持続生産量(MSY)」の概念を幅広い魚種に対して適用する方針を定めた。

 今回の法改正をこれらの改革方針を法律に反映させたもの。まず、水産資源量回復のため、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(TAC法)を漁業法に統合し、農林水産相の判断で各魚種の漁獲可能量(TAC)を決定できるようにした。また、農林水産相または都道府県知事は、漁獲実績等を勘案して、船舶等ごとに漁獲割当て(IQ)を設定できるとした。IQ方式は欧米ですでに普及している手法で、日本もようやく追いついた形。IQは、船舶の譲渡等一定の場合に限り他者に移転できる。

 もう一つの柱が、これまで漁協が漁業権をほぼ独占してきた状態にメスを入れ、企業が新規参入できるようにした点。従来の漁業法では、都道府県知事による漁業権付与に際し、漁協や地元漁民に対し優先的に漁業権を付与することを義務化していた。また養殖でも、企業は漁業権を持つ漁協の傘下に入り、漁業権行使料等を漁協に支払っていた。しかし、今回これらの規制を撤廃。既存の漁業権者が漁場を適切かつ有効に活用している場合は従来どおりその者に漁業権を付与するが、それ以外は地域水産業の発展に最も寄与する者に免許を付与すると規定した。これにより、企業参入の道が開けた。

 漁業の適切な運営を確保するため、改正法では、都道府県が適切な資源管理遂行の監督責任を負うことが明確となった。また、漁業権を付与されたものは、適切な資源管理・生産性向上の責務や情報報告が義務付けられた。

【参照ページ】水産政策の改革について
【参照ページ】漁業法等の一部を改正する等の法律案 参考資料

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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