国連環境計画(UNEP)は12月6日、気候変動に関する「適応ギャップ報告書(Adaptation Gap Report)」2018年版を発行した。同報告書の発行は2014年から開始し今年で4年目。特に発展途上国の気候変動適応状況に焦点を当てている。同報告書は、気候変動適応に対して必要な水準には達していないと、各国政府にさらなる努力を要請した。
2018年11月時点で、パリ協定での自主的削減目標(NDC)で気候変動適応にも触れているのは132カ国あり、国家適応計画(NAP)を策定した国も11カ国ある。国連気候変動枠組条約に基づく各国の報告書「National Communication(NC)」の第7回報告の中で気候変動適応に言及した先進国も40カ国にのぼった。
しかし実行力の高い法規制のレベルで気候変動適応を立法化した国は、わずか68カ国。発展途上国では40カ国しかなかった。気候変動適応能力についても、先進国と低所得国の間のギャップを埋まりつつあるが、ペースは非常に遅いとしている。
気候変動適応に必要なコストは、2030年までに1,400億米ドルから3,000億米ドル。2050年まででは2,800億米ドルから5,000億米ドルに及ぶ。これらのコスト見積もりには、生態系や生物多様性の損害は含まれていないことから、実際にはより大きなコストを要する。また、開発銀行は、現在予定されている投資の将来的な耐性まで考慮に入れると、必要コスト額は大幅に増える見込み。例えば、沿岸部の道路の海抜を上げようとすると大きな投資が必要となる。世界全体ではすでに2030年までに57兆米ドルから95兆米ドルのインフラ投資が予定されており、これらの気候変動適応へのコストは今後上乗せとなる。
一方、気候変動に対する公共ファイナンスは2016年に230億米ドルまで増え、そのうち約64%が発展途上国向け。しかし、自主的削減目標(NDC)達成のためには毎年500億米ドル必要となることから、投資が大幅に不足していることがわかる。
【参照ページ】Growing gap between ambition and action as the world prepares for a future with increasing climate risks
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