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【日本】厚労省、DNA切断のゲノム編集技術は「組換えDNA技術」に該当せず安全審査不要と判断

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の下に設置された遺伝子組換え食品等調査会は12月5日、遺伝子を改変する「ゲノム編集技術」の中でも、目的の遺伝子だけを壊す方法を用いる手法は、食品衛生法により義務化されている安全審査の対象外とする方針を了承した。当該手法は、食品衛生法を基に厚生労働省が制定した規格基準における「組換えDNA技術」に該当しないと判断した。人工的に遺伝子を組み換えた食品への安全性を懸念する団体は、激しく反発している。

 話題の対象になっている「ゲノム編集技術」は遺伝子組換えの中でも新しい技術。1960年頃から開発された遺伝子組換え技術は、主に細胞の外型で人工的に遺伝子を創り出し、細胞内に組み込み遺伝子を改変させる技術。他種の植物や微生物の遺伝子を組み込むことが多く、遺伝子を「創造」し、不自然な作用が起こる可能性があるとして忌避されることも多い。それに対しゲノム編集は、1990年以降に誕生した新たな技術。細胞内で編集したい遺伝子に作用する分子を人工的に送り込み、DNA配列を結合したり、切断したりしながら遺伝子を書き換える技術。従来型の遺伝子組み換え技術よりも、速く、低コスト、狙い通りに書き換えを行うことができるため、近年大きく注目されている。すでにマッシュルームやとうもろこし等でゲノム編集作物が生まれている。

 厚生労働省の規格基準(昭和三十四年十二月厚生省告示第三百七十号、平成十二年五月厚生省告示第二百三十二号)では、

食品が組換えDNA技術(酵素等を用いた切断及び再結合の操作によって、DNAをつなぎ合わせた組換えDNA分子を作製し、それを生細胞に移入し、かつ、増殖させる技術をいう。以下同じ。)によって得られた生物の全部若しくは一部であり、又は当該生物の全部若しくは一部を含む場合は、当該生物は、厚生大臣が定める安全性審査の手続を経た旨の公表がなされたものでなければならない。

 と定めており、「酵素等を用いて切断や再結合をしDNAをつなぎ合わせたもの」を「組換えDNA技術」と定義し、当該技術を用いた食品には安全性審査の義務を課している。一方、この規定は2000年に制定されてから改正されていない。

 今回の調査会では、人工制限酵素による遺伝子の切断のみを行うものが、上記の適格基準の「組換えDNA技術」に相当するかが審議された。結果、その場合は、1個から数個の遺伝子塩基の変異を引き起こしたとしても、上記の定義には合致せず、「組換えDNA技術」ではないと判断された。それにより、食品衛生法に基づく安全性審査も不要と判断した。

 厚生労働省で、ゲノム編集についての審議が急に進んだ背景には、6月15日に政府が閣議決定した「統合イノベーション戦略」の中で、「ゲノム編集技術を代表するCRISPR/Cas9のCRISPRのDNA配列はかつて我が国が発見したものであるが、こうした革新的な基盤技術につながる成果を持っていても、技術の確立まで至ったものが少なかったこと」と振り返り、国策として推進する姿勢を見たことにある。これにより、人体への安全性で厚生労働省が、生態系への影響で環境省が、ゲノム編集についての見解をまとめることとなった。環境省はすぐさま中央環境審議会遺伝子組換え生物等専門委員会にカルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会を設置し、8月30日、人工制限酵素を用いた遺伝子の切断によるものは、遺伝子組換え生物等に該当しないため、カルタヘナ法の規制対象外とすることをまとめている。

 今回の厚生労働省調査会の判断を受け、環境省と厚生労働省の双方がゲノム編集にゴーサインを出したこととなる。厚生労働省は今後、パブリックコメント等を実施した上で、2018年度内に方針を確定させる方針。その後、消費者庁が食品表示のあり方を検討する。

 一方、EUでは、欧州司法裁判所(ECJ)が7月25日、種が元来持つ特定の遺伝子を科学的に改変させる「ゲノム編集」により開発した作物も、従来の遺伝子組換え作物(GMO)と同様に規制の対象とすべきと判断。日本とは異なり、従来の遺伝子組換え食品と同等に扱うことになっている。米国では農務省がゲノム編集作物にはGMO規制を適用しないとの考えを表明している。

【参考】【EU】欧州司法裁、ゲノム編集作物にもGMO規制適用と判断。農業関連企業は対応必須(2018年7月29日)

【厚生労働省調査会】薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 新開発食品調査部会 遺伝子組換え食品等調査会資料
【資料】薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会 遺伝子組換え食品等調査会報告書(案)
【厚生労働省規格基準】組換え食品安全性審査:規格基準告示
【環境省検討会】遺伝子組換え生物等専門委員会
【資料】ゲノム編集技術の利用により得られた生物のカルタヘナ法上の整理及び取扱方針について
【内閣】統合イノベーション戦略

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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