投資運用世界大手米ブラックロックのラリー・フィンクCEOは1月14日、投資先企業のCEOに対し年次書簡を送付した。フィンクシ氏は、昨年の年次書簡で、企業が「目的(Purpose)」を持つことの重要性を訴えかけたが、今回も引き続き、企業に長期経営にドライブをかけるよう促した。
フィンク氏は、景気低迷、テクノロジーによる労働環境の変化、未来の不透明性等、市場関係者の不安が高まる中、社会は企業に対し、環境や社会課題への対処に多くを期待するようになったと指摘。さらに、ソーシャルメディア等を通じて、企業に対するプラッシャーもかつてないまでに高まってきていると言及した。
その上でフィンク氏は、昨年の書簡でのキーワードとなった「Purpose」の解説を進める。Purposeは、単なるキャッチコピーやマーケティング・キャンペーンではなく、企業の存在意義と主張。また、Purposeと利益の関係については、単なる利益の追求がPurposeではなく、企業がPurposeを正しく理解し発信できていることが、企業の長期的な利益創出につながるという考えを見せた。
さらに、政府が果たす課題解決力や安定さに不確実性が高まる中、企業には社会や環境課題を解決する上でのリーダーシップが不可欠となっていると説明。特に、寿命と老後の生活が長くなるにつれ、人々は退職後資金に対する不安を高めており、企業経営者には、従業員の退職準備や能力開発に果たす役割が大きくなっていることにふれた。また、社会や環境課題に大きな関心を持つミレニアル世代が、購買層や従業員として割合が高まるにつれ、リーダーシップを発揮できない企業はより状況が厳しくなると力説した。
その上で、2019年の優先度の高いエンゲージメント・テーマは、取締役ダイバーシティ、企業戦略と資本配分、長期経営を推進する報酬設計、環境リスクと機会、人材マネジメントを挙げた。
【参照ページ】LARRY FINK'S 2019 LETTER TO CEOS
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