水産庁の水産政策審議会資源管理分科会は3月7日、これまで毎年8月から12月に限定してきたサンマ漁を一年中操業可能にする方針を決めた。3月13日にも農林水産省令を改正する予定。
日本のサンマ漁は、北太平洋全域に広く分布しているサンマの一部が、主に夏から秋にかけて日本近海域に来遊したところを漁獲してきた。この来遊時期に合わせ、農林水産省は省令で、操業期間を8月1日から12月31日までに制限してきた。
今回、通年操業を可能にした理由は、日本のサンマ漁獲量が近年大きく減少しているため。サンマ漁獲量は、2008年に35万tを記録した後、急速に減少し、2017年には10万tを下回った。その背景には、海洋環境の変化により漁場が日本近海から沖合域へと離れ、さらに8月より早く漁場が形成されるようになったことがある。その上、北太平洋公海域で中国や台湾の外国漁船がサンマ漁を活発化させていることも影響している。そのため今回、国の許可が必要な10t以上の大型漁船に対しては、通年操業を認め、早めに沖合で漁獲できる状態にし、サンマ漁獲量を上げにいく。
一方、サンマの漁獲量が激減した背景には、乱獲や気候変動影響による資源量低下も考えられる。水産政策審議会は、サンマは「北太平洋漁業委員会(NPFC)の資源管理対象種」になっており、「国毎の漁獲数量管理の導入を目指している」と資源量への考慮も強調している。しかし、NPFCでは漁獲数量管理への反発も強く、合意できる目処は立っていない。さらに、中国や台湾による乱獲を悪者にしているが、来遊量の変化が主原因との見方もある。日本は、減少した分を取り戻すため、船を沖へと運ばせる考えだが、短期的な乱獲競争を引き起こす危険性も認識しなければならない。
【参照ページ】水産政策審議会 第93回 資源管理分科会 配付資料
【参照ページ】サンマ漁獲枠、合意できず。他国の支持を得られない日本提案の中身。
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