【国際】IEEFA、米GEの業績急落を分析。エネルギー転換潮流を見誤りガス火力発電に傾斜 2019/06/10 最新ニュース

 米エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)は6月6日、米総合電機GEの企業分析を実施。世界的に巨大な脱化石燃料の波を見誤り、化石燃料に大きく事業の舵を切ったことが大きな損失と時価総額減少につながったと結論づけた。GEは、エネルギー転換という巨大な移行リスクが経営を直撃した形となった。

 かつて優れた経営モデルとして知られたGEは、2016年から2018年の間に時価総額が1,930億米ドル(約21兆円)も下落。74%もの時価総額がわずか2年で吹き飛んだ。

 今回のレポートは、敗因として、同社の主力事業だった火力発電用タービン事業の大幅な凋落を挙げている。GEの発電タービン事業は、2014年には利益の19.4%を叩き出しており、売上も同年で前年比11%増と世を謳歌していた。さらに2016年には税引前利益の半分を同事業が稼ぐ状況になっていた。2015年には、同じく仏アストラムから発電タービンと送電網設備を製造する事業を169億米ドル(約1.8兆円)で買収。石炭、ガス、石油を用いた火力発電事業を強化する方向に舵を切っていた。

 アストラムからの事業買収では、世界の電力需要の伸びとともに、火力発電所の建設が伸長し、特にガス火力発電事業が伸びていくという読みがあった。実際に2015年時のGEの発表では、ガス火力発電量の成長率は3%と予想し、国際エネルギー機関(IEA)の「2%成長」よりも強気の見通しを立てていた。

 しかしその後、2016年から2017年にかけ、大型ガス火力発電タービンの世界販売量は大きく下落する。タービンメーカーは、製品販売だけでなく、メンテナンス等の保守サービスからも大きな収益を得ていたため、販売量の低下は収益を大きく悪化させていった。2018年、GEの大型ガス火力発電タービンの販売個数は2017年から60%もダウン。新規受注も23%下落し、事業の暗雲を決定づけた。

 火力発電タービン事業は、GE、シーメンス、三菱重工業、日立製作所の4社が世界市場を寡占してきた。GEがアルストムの発電事業を買収した際には、三菱重工業もシーメンスとタッグを組み、GEとの間で買収合戦を繰り広げていた。その後、三菱重工業と日立製作所は火力発電事業を統合し、三菱日立パワーシステムズを設立。そこから、3社が市場シェアの約90%を占める時代が続いたが、シーメンスはガスタービン事業を縮小し、最終的には切り離す決定を下した。

【参考】【ドイツ】シーメンス、火力発電用のガスタービン事業を大幅縮小。6100人削減(2018年5月12日)
【参考】【ドイツ】シーメンス、ガス・電力事業を分社化し新規上場する経営計画発表。注力領域シフト(2019年5月12日)

 2018年の時点で、高効率ガス火力発電タービンの市場シェアは、ガスタービンの高効率化を早く手がけていた三菱日立パワーシステムズが41%、GEが28%、シーメンスが25%という状況で、日本勢が突出している。エネルギー転換や気候変動の移行リスクが、重工業セクターでも顕在化してきている。

【参照ページ】General Electric Misread the Energy Transition: A Cautionary Tale

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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