国際労働機関(ILO)は6月21日、職場での暴力とハラスメントを禁止する初めての国際条約を採択した。ILOの投票は、政府代表者2票、使用者代表1票、労働者代表1票の議決権があり、採決は、賛成439、反対7、棄権30だった。日本では、政府代表と労働者代表は賛成。日本経済団体連合会(経団連)が務める使用者代表は棄権に回った。
反対したのは、コスタリカ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアテマラ、マレーシア、シンガポールのいずれも使用者代表。
同条約は、職場での暴力やハラスメントは人権侵害や虐待であり、機会均等やディーセント・ワークと相容れないものと認識。意図的なものだけでなく、暴力やハラスメントにつながるおそれのあるものも同条約の対象とした。また、契約社員、インターン、見習生、退職者、ボランティア、採用応募者等も対象とした。また、「職場」とは、執務室内だけでなく、出張、イベント、インターネット上、会社提供の宿泊施設、通勤、更衣室等も含まれる。暴力・ハラスメントは「身体的、精神的、性的、経済的な損害」を与える行為、あるいは与えるおそれのある行為と定義した。
同条約は2ヶ国が批准した12ヶ月後に発効する。また今回同時に同条約についての法的拘束力のないガイドライン「暴力・ハラスメント禁止勧告」も賛成多数で採択した。LGBTに対する保護措置については、LGBTに対する理解が薄い国からの反対があり、「弱い立場にある集団」という抽象表現に改められた。
【参照ページ】New international labour standard to combat violence, harassment, at work agreed
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