国連グローバル・コンパクト(UNGC)は5月5日、新型コロナウイルス・パンデミックによる人命保護のための外出抑制や国境制限により、海運サプライチェーンが断絶していることが、新たな社会的リスクを招いているとし、物流を維持しながらソーシャル・ディスタンシングを実施することを各国政府に要請。実施すべきアクションをまとめた提言を発表した。
今回の提言は、UNGCのイニシアチブの一つ「Action Platform for Sustainable Ocean Business」が発足したチーム「COVID-19 Task Force」のがまとめたもの。同チームのメンバーは、国連食糧農業機関(FAO)、世界銀行、国際海事機関(IMO)、経済協力開発機構(OECD)、世界資源研究所(WRI)、国際商工会議所(ICS)、国際石油ガス生産者協会(IOGP)、国際港湾協会(IAPH)、ノルウェー外務省、ノルウェー船主協会、ノルウェー国際問題研究所(NUPI)、サーマック、ガード、コングスバーググループ、ウィル・ウィルヘルムセン・ホールディング、バッカフロスト、DNV、DNB銀行、タタNYK、Nor-Shipping、ヤラインターナショナル、マサチューセッツ工科大学(MIT)、ジョン・ホプキンス大学国際高等研究院(SAIS)等。
同提言では、まず、世界の物流の約90%を占める海運は、通常5万隻の船舶と120万人の海運関係者によって支えられ、年間の総寄港回数は400万回を超える。特にライフライン維持に必要な食品、年量、医薬品、原材料の多くは、海運が担っている。しかし今回、外出規制により、港湾事業者の稼働従業員数が減少。通常の海運業務が回らなくなってきている。また、通常の医療を受けられなくなってことで、疾病やメンタルヘルスのリスクも高まっている。加えて、船乗りの多くは、季節労働者が多く、現在の移動規制により、新たな従業員の勤務開始が停滞。取り急ぎ、4月末契約の従業員を一ヶ月延長する調整を進めているが、それも厳しくなりつつあるという。漁業事業者でも同様の問題が発生している。
そこで今回、各国政府に対し、14の提言を発表した。中には、危機意識を感じている政府間での連合体の発足、海運関係者をエッセンシャルワーカーと認識した上での国境移動の保証、船舶や海運関係者の対する例外措置の適用、海運サプライチェーン断絶の状況を認識するための指標の設定等。提言は、詳細に記述されており、切迫感が伝わってくる内容になっている。
【参照ページ】Disruption of Ocean Supply Chains Due to COVID-19 to Cause Significant Global Shortages
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