化学世界大手米ダウは6月17日、新たなサステナビリティ目標を発表した。2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を目指すための排出量削減や、サーキュラーエコノミー推進等が柱。ダウは2015年に2025年サステナビリティ目標を設定していたが、今回はそれに沿う形でより長期の目標を新たに設定した。
今回発表した新目標は、
- 気候変動:2030年までに年間二酸化炭素排出量を2020年比15%減に相当する500万tを毎年削減。パリ協定を踏まえ、2050年までにカーボンニュートラルを目指す
- 廃棄物の根絶:2030年までにパートナー企業と協力し、100万tのプラスチックを収集、再利用、リサイクル
- サーキュラーエコノミー:2035年までに、包装容器素材製品を100%再利用またはリサイクル可能なものにする
また同社は、アルゼンチン、ブラジル、米テキサス州、米ケンタッキー州にある同社の製造拠点を対象に、太陽光発電及び風力発電での電力購入契約(PPA)を締結したと発表。設備容量は合計338MW以上で、年間22万5,000t以上の二酸化炭素排出量削減が見込まれる。同社は2025年までに再生可能エネルギー発電設備容量を750MWに引き上げる目標を掲げており、達成に向けて順調に推移しているとした。
しかし、国際環境NGOの世界資源研究所(WRI)は今回のダウの新たな気候変動目標に対し、2030年までに500万tの削減では、パリ協定との整合性がないと厳しく指摘した。ポイントは、ダウはスコープ3の排出量まで含めると自身で年間1.25億t排出していることを公表しており、毎年の削減目標の500万tは、スコープ3まで含めた排出量のわずか4%にすぎない点。ダウは、科学的根拠に基づく削減目標設定イニシアチブ(SBTi)から目標の承認もまだ得ていない。
一方WRIは、サーキュラーエコノミーに関する新目標については、業界他社に先駆けた良い兆しと評価した。
【参照ページ】Dow sets targets to reduce GHG emissions, stop plastic waste, and drive toward a circular economy
【参照ページ】Dow signs four renewable power agreements to achieve 2025 Goal and lead petrochemical industry
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