国際環境NGOの国際自然保護連合(IUCN)は7月9日、絶滅危惧種をリストアップした「IUCNレッドリスト」を更新。キツネザルやタイセイヨウセミクジラ、クロハラハムスター、冬虫夏草が絶滅危惧IA類(CR)に移行した。評価対象は12万種超。絶滅危惧種指定は合計32,441種となった。日本に関連する動植物としては、マツタケや沖縄県に生息するヤシガニ等が絶滅危惧Ⅱ類(VU)に移行した。
絶滅(EX) | 我が国ではすでに絶滅したと考えられる種 |
野生絶滅(EW) | 飼育・栽培下でのみ存続している種 |
絶 滅 危 惧 | 絶滅危惧ⅠA類(CR) | ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの |
絶滅危惧ⅠB類(EN) | ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの |
絶滅危惧Ⅱ類(VU) | 絶滅の危険が増大している種 |
準絶滅危惧(NT) | 現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種 |
情報不足(DD) | 絶滅のおそれがある可能性はあっても、そのように判定するに足る情報が不足している種 |
絶滅のおそれのある 地域個体群(LP) | 地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの |
マダガスカルのキツネザルは、107種中103種が絶滅危惧種であり、約3分の1に当たる33種が絶滅危惧IA類(CR)に指定されている。今回新たにCRに移行したのは、ベローシファカとベルテネズミキツネザル。森林伐採や焼畑農業等による生息地の破壊や密猟で大幅に減少しているという。
アフリカのその他地域では、アカコロブス属17種を含む103種中54種が絶滅危惧種に指定。食用の密猟や生息地の破壊により、特にキングコロブスは、絶滅危惧Ⅱ類(VU)から絶滅危惧ⅠB類(EN)に移行した。
タイセイヨウセミクジラは、絶滅危惧ⅠB類(EN)から絶滅危惧ⅠA類(CR)に移行。2018年末には、250頭が生息していると推定され2011年比で15%減少している。同種の減少には、漁具や船舶の衝突による死亡率増加や、繁殖率の低下が影響しており、気候変動が同種の絶滅への脅威を増大させているとした。
クロハラハムスターは、繁殖率の低下に伴い絶滅危惧ⅠA類(CR)に移行。繁殖率低下の背景は解明されていないものの、単一栽培プランテーションの拡大や産業開発、気温上昇、光害が原因と考えられている。げっ歯類は、フランスのアルザス地域では4分の3、ドイツでは少なくとも3分の1が減少、東ヨーロッパでは75%以上から姿を消した。何も対応しない場合、同種は今後30年以内に絶滅すると予測されている。
世界で最も高価な菌の冬虫夏草は、絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定。同種は、中国医学で高く評価されており、2,000年以上にわたり、腎臓や肺に関連する疾患を含む多くの疾患の治療に使用されてきた。過剰収穫により、過去15年間で少なくとも30%減少した。
日本に関連する動植物としては、マツタケやヤシガニ等が絶滅危惧Ⅱ類(VU)に移行。マツタケについては、線虫による松枯れ被害や過剰採取を背景に、過去50年間で30%以上減少したと分析した。その他ニホンウナギは、絶滅危惧ⅠB類(EN)のまま改善されず、依然厳しい状況となった。
【参照ページ】Almost a third of lemurs and North Atlantic Right Whale now Critically Endangered - IUCN Red List
【参照ページ】マツタケ、絶滅危惧種に指定
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