エネルギー世界大手英BPは8月4日、2030年までに石油・ガスの生産量を40%削減すると発表した。また現在産油国でない国での石油・ガス採掘を禁止することも発表した。オイルメジャーで生産量削減目標を設定したのは同社が初。
石油・ガス事業者での二酸化炭素排出量は、化石燃料である石油・ガスの使用時が大半を占め、自社ではなく顧客でのスコープ3排出量が圧倒的に多い。しかし、オイルメジャーでの削減表明は従来、自社の採掘・生産時の排出量にのみ言及し、採掘・生産時の漏出やフレアのみを対象としていた。しかし今回ついに、BPが初めて具体的な生産量の削減、すなわちスコープ3の削減に踏み切った。
BPは今回、気候変動対策のため、2050年までに二酸化炭素ネット排出量(カーボンニュートラル)を目指すと宣言。2030年までに事業ポートフォリオの積極的な転換により石油・ガス生産量を40%削減するとの目標を掲げた。それに伴い、2030年までにBPの販売製品での原単位二酸化炭素排出量も15%削減する。現在産油国でない国での石油・ガス採掘を禁止することも決めた。その結果、石油・ガスの上流生産量は2019年の日量260万バレルから150万バレルに減少。石油精製の生産量も2019年の日量170万バレルから120万バレルに減る。石油・ガス関係では、大方の新規プロジェクトはすでに完了していることから、使用資本利益率(ROACE)を12%から14%に向上させることに注力するとした。
また自社事業からの二酸化炭素排出量も2030年までに30%から35%削減し、石油・ガス生産上流工程での排出量も2030年までに35%から40%削減する。
一方で、低炭素型エネルギーの開発では、現在年間5億米ドル規模の設備投資額を2025年までに8倍、2030年までに10倍にまで引き上げ、2030年までに再生可能エネルギーの新規設備容量を約50GWに増やすと表明した。バイオ燃料の生産量も現在の日量22,000バレルから2030年までに10万バレルに増やし、水素生産でも市場シェア10%を取りに行く。電気自動車(EV)充電ステーションの設置数も現在の7,500ヶ所から7万ヶ所へと増やす。そのため、脱炭素化を進める世界の10から15の都市と、主要3業種との連携を深める。CCUS(炭素回収・利用・貯蔵)の技術開発にも投資する。
年間の設備投資額は、2025年までは現状の140億米ドルから160億米ドルよりやや少し下のラインを維持し、純有利子負債を350億米ドルにまで抑えると同時に2025年までに250億米ドルのダイベストメント(資産売却)の意向も示した。一株当たりEBITDAでは、2025年までに7%から9%の年間成長率を目標とした。自社株買いも実施する。
【参照ページ】From International Oil Company to Integrated Energy Company: bp sets out strategy for decade of delivery towards net zero ambition
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