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【国際】WHO、先進国に新型コロナワクチン供給枠組み「Covax」への参加要請。指定薬物確保でも協力を

 世界保健機関(WHO)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)、国際麻薬統制委員会(INCB)の3者は8月14日、鎮静剤や鎮痛剤等の指定薬物のサプライチェーン確保を各国政府に求める共同声明を発表した。新型コロナウイルス・パンデミックにより、確保が難しくなるケースが出てくるという。

 鎮静剤や鎮痛剤の指定薬物は、緩和ケア、外科的ケア、麻酔、精神疾患、薬物使用障害の治療薬として一般的に使われている。同声明によると、鎮静剤や鎮痛剤は、パンデミックの前から入手が難しい地域があり、医薬品アクセスの観点からの課題が指摘されていた。その上、パンデミックにより、発展途上国等でさらに入手が難しくなるケースが出てくるという。指定薬物は、新型コロナウイルスの治療でも使われることがあるという。

 3者は、各国政府に対し、指定薬物の量の確保と質の確認の双方を実施するよう要請。入手可能な価格で治療が行える環境を確保すべきとした。さらに全ての国で治療環境が整備できる、各国政府が協調するよう呼びかけた。製薬企業や物流企業に対しても、重要な役割を期待した。

 3者は今回、麻薬に関する国連の諸条約では、緊急事態には、指定薬物の輸出、輸送、供給に関する規制を緩和することを認めていることを強調。特定地域での不足が深刻になった状態では、輸入国当局の認可がなくても輸出国当局が輸出を許可することも条約により認められているという。その場合には、可能であれば、国際麻薬統制委員会のシステム(I2ES)の「PEN Online」上に輸出入情報を入力することが望ましいとした。

 またWHOのテドロス・アダノム事務局長は8月18日、先進国に対し、8月末までに新型コロナウイルス・ワクチンの開発のための国際的な資金供給プログラム「Covax」に参加するよう呼びかけた。Covaxは、2021年末までにワクチン20億回分を世界に衡平に供給する体制構築する目標を掲げている。

 Covaxは、WHO、GAVIアライアンス、疫病対策革新のための連合(CEPI)が発足。先進国は同プログラムからワクチンを購入し、一方、発展途上国92ヶ国は資金援助が得られるという富の配分とワクチン普及を同時に進めるスキームとなっている。ワクチン供給は、2つのフェーズを用意しており、第1フェーズでは、全参加国に対し、人口の20%をカバーできる分のワクチンを均等に供給。第2フェーズでは、感染リスクの高い国に重点供給する。

 ワクチン開発企業は、すでに国際政治に巻き込まれつつあり、難しい対応が迫られている。先進国からは、開発資金支援の見返りに、ワクチンの優先供給を求められているが、一方で先進国に優先的に供給すると、「医薬品アクセス」の観点から批判されるおそれもある。そのため、ワクチン開発企業にとって、事前に国際的なスキームを用意してくれる「Covax」はありがたい存在。しかし同スキームに先進国が積極的に参加するかが鍵となっている。

【参照ページ】INCB, WHO and UNODC statement on access to internationally controlled medicines during COVID-19 pandemic

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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