食品世界大手米マースは10月6日、調達しているパーム油のサプライチェーン上で森林破壊ゼロを達成したと発表した。同社は2019年から、パーム油調達を抜本的に変革する「パーム・ポジティブ・プラン」を発動。森林破壊ゼロや人権保護を完全達成するため、大幅にパーム油調達事業者を絞り込むアクションを進めている。
同社の今回の発表は、「パーム・ポジティブ・プラン」の進捗状況を公表したもの。同社は、2019年9月に同プランを発動し、サプライチェーン上のパーム油搾油工場の数を当時の約1,500社から、2021年までに100社に、2022年までに約50社へと30分の1にまで絞り込むことを決定した。背景には、サプライチェーン・マネジメント強化のためには、1,500社の状況を把握するのは困難であり、同社が環境や人権の観点で優良と認識するサプライヤーとの契約に特化する狙いがある。
マースは、契約を続ける生産者に対してはマネジメントを強化している。具体的には、人工衛星を活用したマッピングを通じたモニタリングの導入、1次サプライヤーに対し同社が求める人権リスク監査を上流企業に対して実践するキャパシティビルディングの支援、関係深化を通じた説明責任や影響力行使の促進の3つ。これらによりサプライチェーンの透明性を高めるとともに、サステナビリティ調達を実現しようとしている。
今回の発表では、先進事例として、不二製油グループ本社のマレーシア子会社FUJI OIL ASIAとマレーシアのパームヤシ栽培UNITED PLANTATIONS の合弁会社「UniFuji」を取り上げている。UniFujiは、マースの「パーム・ポジティブ・プラン」の下で、契約パーム油搾油工場の数を780社から1社へと減らし、栽培プランテーション事業者、搾油工場事業者、製油事業者を各々1社に絞る体制を構築した。これによりマースにとって、マネジメントの効率を大幅に向上できたという。
また今回の発表では、マースが2017年からパーム油生産ウィルマー・インターナショナルと、人権パートナーVeritéと協働で取り組んでいる人権保護アクションについてのレポートも発行した。
加えて同社は、パーム油だけでなく、紙・パルプ、大豆、牛肉、カカオでも森林破壊ゼロを実現するため、業界団体のコンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)と協働し、業界全体でのサプライチェーン強化に努めていることも強調。「Sustainable in a Generation Plan」を展開し、10億米ドル(約1,100億円)を投資していると伝えた。
【参照ページ】Mars Palm Positive Plan Delivers Deforestation-Free Palm Oil Supply Chain
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