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【アメリカ】Ceres、大手銀行のシンジゲートローン気候変動リスク分析。幅広い業界でリスク大

 米ESG投資分野アドボカシーNGOのCeresは10月19日、米銀行大手のシンジケートローンと気候変動移行リスクを分析したレポートを公表した。JPモルガンチェースやモルガン・スタンレー等が、気候変動に対する明確なコミットメントを掲げる一方、多くの銀行は依然としてリスクに対する準備不足と指摘した。

 同レポートでは、公開情報に基づきリスク分析を実施。米銀行のシンジゲートローンの半分以上が、気候変動移行リスクに晒されていると分析し、幅広い業界でパリ協定の二酸化炭素排出量削減目標への準備が不十分ということがわかった。

 また、同レポートでは、移行リスクが顕在化した際のポートフォリオ損失額も試算。直接的なインパクトでは、約3%の損失に留まるものの、より広範囲な間接的なインパクトでは、最大18%の損失につながると算出された。特に米銀行の上位6行は、全て平均以上のリスクを抱えているという。今回の試算では、最悪シナリオを想定したため、数値が実態よりも過渡に悲観的となっている可能性があるものの、物理リスクやインターバンク取引等の間接的な移行リスクは今回は損失額試算において考慮されていないことにも留意を促した。

 さらに、銀行間の相互依存性やレバレッジの程度により、リスクが増大する可能性にも言及。リスク資産の値崩れを受け、他の安全資産も投げ売りせざるを得ない状況に陥る可能性も指摘した。

 Ceresは、同レポートは公開情報のみで分析した結果であり、各銀行が自身で詳細な分析を行うことを提言。金融業界による迅速なリスク分析への着手や、科学的根拠に基づく透明性のある評価手法の開発、投融資先へのエンゲージメントを要請した。特に投融資先へのエンゲージメントでは、銀行のコミットメントを宣言することが重要とし、2021年の第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)までに詳細な中間目標を含め、パリ協定に沿った二酸化炭素排出量削減目標を策定するよう求めた。

【参照ページ】Financing a Net-Zero Economy: Measuring and Addressing Climate Risk for Banks

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