エネルギー世界大手イタリアのエネルは11月24日、2030年までの投資計画を発表。脱炭素化の加速とエネルギーの電化のために2021年から2030年までに1,900億米ユーロ(約23.6兆円)を投資する。その上で2030年までの売上CAGRは5%から6%、経常利益CAGRも6%から7%にまで引き上げると発表した。
同社は今回、今後の事業戦略として、既存のエネルギービジネスをデジタル化によって利益率を引き上げる「オーナーシップ」モデルと、他社との共同出資で事業を構築する新たな「スチュワードシップ」モデルの2つを展開すると表明。今回の投資計画の内訳は、オーナーシップモデルに1,500億米ユーロ、スチュワードシップモデルでは、自己出資100億ユーロとパートナー企業からの出資300億ユーロ。そのため自己投資分は合計で1,600億ユーロ(約20兆円)。このうち2023年までの3カ年では、オーナーシップモデルが380億ユーロ、スチュワードシップモデルが自己出資20億ユーロ、パートナー企業出資80億ユーロ。
オーナーシップモデルでは、再生可能エネルギー発電向けが700億ユーロで、現在の設備容量45GWを、2030年までに120GWと2.7倍にまで拡大する。また、インフラ増強やデジタル化の分野で資産価値ベースで700億ユーロ、顧客でのスマートメーター導入で9,000万ユーロを費やす。残りの投資額は、全て顧客価値追求のために投入するという。
スチュワードシップモデルでは、再生可能エネルギーやファイバー、e-transportの分野になるという。
同社は今回の投資計画を通じ、二酸化炭素排出量を2030年までに2017年比80%削減を目指す。同社はすでに削減目標で科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)から承認を得ている。EUタクソノミーの観点からも、今回の投資計画のうち、自己試算で80%から90%が気候変動緩和基準に該当すると誇った。経済効果でも、同社の事業国全体で2,400億米ドルのGDP創出に貢献できるという。
また同社の電力アグリゲーター事業子会社エネルXも11月19日、中国・上海に進出し、「エネルX・チャイナ」を設立。電気自動車(EV)充電ステーション事業を展開すると発表。
同社の電力小売子会社エネル・グリーン・パワーも11月19日、ノバルティスとの間で、欧州規模のバーチャルPPA(電力購入契約)を締結したと発表した。契約設備容量は再生可能エネルギー78MWで、10年契約。2022年1月に開始し、欧州の各オフィスに電力を供給する。今回の契約を受け、ノバルティスは同日、2025年までに欧州全オフィスの電力をバーチャルPPAで100%再生可能エネルギーに切り替えることを欧州企業として初めて宣言した。
【参照ページ】Enel’s 2030 vision in 2021–2023 Strategic Plan: a decade of opportunities
【参照ページ】Enel X launches e-Mobility services in China
【参照ページ】Enel Green Power and Novartis strike deal for 10 year 100% renewable energy agreement
【参照ページ】Novartis set to achieve 100% renewable electricity in its European operations
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