ノルウェー・エネルギー大手エクイノールと独電力大手RWEは12月7日、オランダ北部でのグリーン水素プラント建設プロジェクト「NortH2」に参画すると発表した。2021年までに事業性評価を行い、2021年第2四半期の建設着工に向け準備を進める。
同プロジェクトは、2月にエネルギー世界大手蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、蘭ガスインフラGasunie、グローニンゲン港等により発足。洋上風力発電を活用した欧州最大のグリーン水素生産を目指し、2027年までに設備容量1GW、2030年までに4GW、2040年までに10GW以上に拡大予定。水素生産量では、2030年には40万t、2040年には100万tとなる見込み。二酸化炭素排出量は、年間800万tから1,000万t削減できるという。
エクイノールはすでに、洋上風力発電プロジェクト「ドッガーバンク」、炭素回収・貯蔵(CCS)プロジェクト「Northern Lights」、ブルー水素生成プロジェクト「H2H Saltend」等にも着手。今回のNortH2は、急速に拡大する水素需要に応え、オランダとEUの2030年気候目標やパリ協定にも合致しており、同社のエネルギー移行を促進する。
RWEもこれまで、脱炭素化に向けオランダ、ドイツ、英国でプロジェクト30以上を実施。オランダ・エームスハーヴェンでの50MW規模の電解装置開発や、同国リンブルフでの廃棄物からの水素生成、ドイツ最大の水素生成プロジェクト「GET H2」等も進めている。
洋上風力発電は、迅速な成長を遂げており、グリーン水素バリューチェーンにも適合。北海は、大規模風力発電所設置について高い潜在性があり、既存の天然ガスインフラも水素の大規模輸送と貯蔵に転用できる。オランダとドイツには、大規模な産業集積地があり、脱炭素化できると工場立地企業にとって大きなメリットになる。同地区には大型車両のOEM工場もある。
10月には、オーストラリアでは大規模なグリーン水素プラント建設プロジェクトが発表されている。場所は西オーストラリア州ピルバラで、借地は6,500km2。オーストラリア連邦政府が10月22日、ヴェスタス、マッコーリー・グループ、CWPリニューアブルズ、インターコンチネンタル・エナジーの4社で構成するコンソーシアム「Asian Renewable Energy Hub(AREH)」に対し、同プラントの建設許可を出した。総工費は360億米ドル(約3.7兆円)で、2025年に最初の投資判断のタイミングが来る。
オーストラリア政府での同プラントの当初計画では、太陽光発電と風力発電で発電した電力を海底ケーブルでシンガポールに送電する予定だったが、水素生産の競争が激化することを見越し、計画案を変更。発電電力でグリーン水素を生産し、さらに貯留・運搬しやすいようにアンモニアへと転換する。第1次で再生可能エネルギーの設備容量を15GWに、最終的には26GWにまで拡大。風力発電は合計1,600基、太陽光発電の面積は78km2と、世界最大規模となる。
同プラントでの年間水素生産量は、原子力発電6基分の発電所燃料に相当する年175万t。ピルバラは、元々は天然ガスの有名な産地。オーストラリア政府の与党・オーストラリア自由党は元々、気候変動に懐疑的だったが、最近は認識を転換。カーボンニュートラルによる産業転換の必要性を考え始め、ピルバラでも新産業として水素生産に乗り出すこととなった。
同プラントは、2026年に着工し、2027年もしくは2028年にからアンモニアの輸出を開始する。
【参照ページ】Equinor joins Europe’s biggest green hydrogen project, the NortH2-project
【参照ページ】New partner for NortH2: RWE strengthens one of the most ambitious hydrogen projects in Europe
【画像】Equinor
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら