Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の96%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【EU】欧州委、コロナワクチンの域外輸出事前承認制度発動。途上国は例外。BionTechは増産成功

 欧州委員会は1月29日、EU域内で生産された新型コロナウイルス感染症ワクチンについて、生産国政府の輸出許可に関するEU規則を適用することを決定した。これにより、生産国からEU域外に輸出する際には当局の承認が必要となった。1月30日のEU官報掲載で発効となり、2021年3月31日に終了する。

 欧州委員会は今回の規則に関し、「ワクチン輸出の透明性不足」と説明。同ルールの詳細化については、各加盟国の当局の責務としつつも、欧州委員会としても共通化に向けたガイダンス等を発行している考えを見せた。

 今回の規制の対象外となる国は、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、北マケドニア、セルビア、モルドバ、ウクライナ、ベラルーシ、ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンの東欧諸国及びコーカサス3国、バチカン市国、アンドラ、リヒテンシュタイン、サンマリノ、モナコの欧州小国、スイス、アイスランド、ノルウェーの欧州のEU非加盟国、アルジェリア、エジプト、ヨルダン、レバノン、リビア、モロッコ、シリア、チュニジア、イスラエル、パレスチナ。また、新型コロナウイルス感染症ワクチンの国際分配スキーム「COVAX」の加盟発展途上国92ヶ国や、国連機関等を通じて大国に分配されるものも対象外。但し、英国は同規制の対象となる。また、現在ベルギーが導入しているような一方的な輸出禁止措置には反対した。
 
 また同ルールでは、EU域内の企業が、域外の国との間で「優先調達契約(APA)」を締結している場合には、当局の許可判断において、同契約は考慮されるとした。また、同ルールは、世界貿易機関(WTO)のGATT11条との整合性があるとの考えも披露した。

 今回の緊急決定は、EUが調達契約を結んでいた英アストラゼネカが、ワクチン生産が想定よりも遅れ、EUへの供給分が減少していることに伴う反応。アストラゼネカは、英国、オランダ、ベルギー等でワクチンを生産しているが、EUよりも3ヶ月早く調達契約を結んでいた英政府は、英国生産分のワクチンの国内分配をすでに開始しているが、オランダ工場やベルギー工場での稼働の遅れは解消されておらず、EUへの供給が遅れている。EUは、英国生産分もEUの調達契約の範囲として1月29日に契約書の一部を公表し、同社を批判していた。

 欧州委員会は同日、緊急使用許可(EUA)状態だったアストラゼネカ製ワクチンの条件付き一般販売許可を発出。これによりアストラゼネカは、契約に基づき、2021年にワクチン4億回分の供給義務があると伝えていた。EUは他に、ファイザー/BioNTech製のワクチン6億回分、モデルナ製のワクチン1.6億回分も契約している。

 欧州委員会とアストラゼネカは1月31日、アストラゼネカがEUにワクチン900万回分の追加供給で合意したと発表。これで合計4,000万回分供給されることとなったが、当初予定では1月から3月に8,000万回分が供給される予定だった。

 一方、ファイザーとBioNTechは2月1日、ベルギー工場での遅延見通しを挽回し、ワクチンを2月15日から予定通り供給できる体制が整ったと発表。やや供給開始が遅れたものの、1月から3月までの供給見通し分は確保できるとともに、4月から6月の供給分は7,500万回分追加できるとした。さらに、年間の生産体制は、以前発表13億回分から20億回分にまで増強することを表明した。生産パートナー工場は、当初の3工場からすでにドイツ・マールブルクを含む13工場に拡大した。

 米ジョンソン・エンド・ジョンソン傘下のヤンセンファーマは1月29日、同社開発中のワクチンのフェーズ3臨床試験で、中程度の症状予防の有効性は66%と発表。重度症状の予防では85%と発表した。同社のワクチンは、米国が1億回分、カナダが3,800万回分、英国が3,000万回分の調達契約を結んでいる。

【参照ページ】Commission statement on the vaccine export authorisation scheme
【ルール】COMMISSION IMPLEMENTING REGULATION (EU) 2021/111
【参照ページ】Questions and Answers: Transparency and authorisation mechanism for exports of COVID-19 vaccines
【参照ページ】European Commission authorises third safe and effective vaccine against COVID-19
【参照ページ】Statement on Manufacturing
【参照ページ】Johnson & Johnson Announces Single-Shot Janssen COVID-19 Vaccine Candidate Met Primary Endpoints in Interim Analysis of its Phase 3 ENSEMBLE Trial

author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。