連邦準備制度理事会(FRB)は3月19日、気候変動と金融安定化に関するメモを発表。気候変動リスクが金融セクターに脆弱性をもたらすチャネルについての分析や調査を進めていくと伝えた。また3月23日には、FRB内に「監督気候委員会」を設立することも明らかにした。FRBは2020年11月、金融安定報告書の中で、気候変動がもたらす金融リスクに言及。対策を進める意向を示していた。
【参考】【アメリカ】FRB、金融安定報告書を公表。気候変動を初めてリスク認識。資産価値暴落を警鐘(2020年11月11日)
FRBは3月19日、気候変動による金融リスクは、ミクロプルーデンスとマクロ・プルーデンスの双方に懸念をもたらすものの、分析と研究は初期段階にあると指摘。研究・分析にも大きな投資が必要となることを伝えた。その上で、今回のメモは、FRBが実施している金融安定報告書の枠組みの中に、気候変動に対する金融リスク対策を組み入れる重要となるアプローチ手法を示した。
気候変動が金融安定に与える影響では、気候変動が資産価値暴落等で直接金融リスクをもらたすものと、気候変動が雇用や財・サービス提供の経済活動に影響を与え、それが金融リスクをもたらすものの2つのチャネルがあることを示した。また移行リスクと物理的リスクの双方が、資産価値、銀行融資、禁輸セクターのレバレッジ、資金調達リスク等に影響を与え、金融リスクにつながることも示した。
FRBは、3月23日には、ラエル・ブレイナード理事が記者会見を行い、FRB内に「監督気候委員会(SCC)」と「金融安定気候委員会(FSCC)」を設立する計画を明らかにした。SCCは、ミクロプローデンスとして、監視対象の金融機関のリスクに対するレジリエンスを評価するFRBの能力を整備し、適切なプログラムを開発していく。一方、FSCCは、マクロプルーデンスとして、金融システム全体での複雑な相互作用を特定、評価、対処するための政策を検討する。FSCCは、シナリオを用意したストレステストの手法も策定。FRBの金融安定監視委員会(FSOC)とも密接に連携する。
また、ブレイナード理事は、金融安定理事会(FRB)での気候変動に関するアクションに積極的に参加していることも強調した。今後、FSB、米財務省が共同議長を務めるG20サステナブルファイナンス・スタディグループ、その他のスタンダード策定機関とも密接に協議を進めていくと伝えた。また、FRBは、バーゼル銀行監督委員会の気候関連金融リスク・タスクフォース(TFCR)の共同議長も務めている。
【参照ページ】Climate Change and Financial Stability
【参照ページ】Financial Stability Implications of Climate Change
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