金融世界大手米JPモルガン・チェースは5月13日、各セクターへのファイナンスでのカーボンフットプリント目標を発表した。同社は2020年10月、2030年までにグリーン・地域・開発で270兆円投融資を宣言。また、すでにファイナンスでのカーボンフットプリントをパリ協定と整合性のある状態にすることを宣言しており、今回、重要セクターでの目標設定に踏み込んだ。
【参考】【国際】JPモルガン・チェース、2030年までにグリーン・地域・開発で270兆円投融資。開発金融機関も設立(2021年4月23日)
同社は、2050年までの投融資カーボンフットプリントでのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を宣言しており、さらに顧客へのエンゲージメント部門として「カーボン・トランジション・センター」も発足させている。そのうえで、今回発表したのは、石油・ガス、電力、自動車業界向けの2030年目標。
まず、石油・ガス業界向けには、2030年目標として、採掘事業での原単位排出量を2019年比35%削減、製品使用での原単位排出量を同15%削減を設定した。すなわち石油・ガスの販売数を下げ、再生可能エネルギーに転換していくことを要求する。
電力業界向けには、2030年までに発電での原単位排出量を2019年比69%削減。こちらも同様に再生可能エネルギーを中心とした、ゼロエミッション電源への転換を迫る。
自動車業界向けには、2030年までに新車生産での原単位排出量と、車両走行時の排出量を2019年比41%削減。具体的には電気自動車(EV)への転換と、自動車サプライチェーン全体での削減を求める。
今回の目標設定は、国際エネルギー機関(IEA)等のシナリオ分析を基に、同社独自の科学的根拠に基づく目標設定手法「Carbon Compass」で目標を算出した。次のターゲットは、紙・パルプ業界で、2022年末までに目標を決定する。
【参照ページ】JPMorgan Chase Releases Carbon Reduction Targets for Paris-Aligned Financing Commitment
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