フランス国務院は7月1日、フランス政府に対し、二酸化炭素排出量を2030年までに1990年比40%削減を実現するため、2022年3月31日までに追加措置を講じるよう命じた。国務院は行政裁判での最高裁判所の役割も担うフランス特有の司法・行政機関。自治体とNGOがフランス政府を相手取り、2020年11月に行政裁判を起こしていた。
EUは現在、2030年に1990年比40%減を公式目標としており、目下、55%に引き上げる公式な手続が進められている。
【参考】【EU】欧州理事会、CO2を2030年55%削減の欧州委政策を支持。土地利用変化も算出範囲に(2020年12月12日)
今回の裁判を提訴したのは、グランド=シント(ノルト)自治体と、NGOのオックスファム・フランス、グリーンピース・フランス、Notre Affaire A Tous、Fondation Nicolas Hulotの4団体。国務院に対し、政府の現行措置で2030年に40%削減が実現できるか確認するよう求めていた。
これに対し、国務院は、フランス政府に3か月以内に現行措置の十分性を示す証拠を提出するよう命令。政府は、2019年と2020年の削減実績を基に、現行措置が十分であることを説明していたが、6月11日に再開した国務院の審理では、2019年の排出削減は小さく、2020年の減少は新型コロナウイルス・パンデミックで経済活動が縮小したためと判断。2030年40%削減のためには、2022年から2024年までに12%削減が必要だが、現行措置では達成ベースではないと結論づけた。
国務院は、審理の中で、フランスの国家戦略では、2019年から2023年までの6%削減と比べ、強化した現行措置で2024年から2028年までに12%削減が可能としているが、環境省配下の環境・持続可能開発審議会(CGEDD)、民間委員を中心に構成される政府および議会の諮問機関「経済・社会・環境評議会(ESEC)」、高等評議会(HCC)が2019年から2021年までに、新しい措置が打ち出されない限り、12%達成は難しいとの見通しが出ていたことを重要視した。同様に、フランス政府が新たに「気候・レジリエンス法案」を準備していることも、現行措置では不十分ということを示す材料とした。
【参照ページ】Greenhouse gas emissions: the Conseil d’État annuls the Government’s refusal to take additional measures and orders it to take these measures before 31 March 2022
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