国連グローバル・コンパクト(UNGC)、CDP、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4者が運営する気候変動に関する科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)は7月15日、目標設定の基準フレームワークを「1.5℃シナリオ」のみに限定する方針改訂を発表した。これにより、過去「well-below 2°Cシナリオ」でSBTi承認を受けていた企業は、再度承認されなければならなくなる。
SBTiは2019年に大きな方針変更を発表し、目標設定の承認基準をそれまで「2℃シナリオ」から、「1.5℃シナリオ」もしくは「well-below 2°Cシナリオ」に改訂。これにより、2℃シナリオでの目標設定を受け付けなくした。2℃シナリオでの既承認企業も、2025年までに再承認が必要としていた。
【参考】【国際】SBTi、1.5℃特別報告書に鑑み承認基準を2019年4月から改定。既承認企業にも影響あり(2019年2月22日)
今回の改正は、それに続くもので、「well-below 2°Cシナリオ」も廃止し、7月15日以降は「1.5℃シナリオ」しか受け付けなくなった。1.5℃シナリオでの目標設定は、2021年のSBTi申請の66%を占めているが、残りの34%は再申請が必要となる。金融機関向けのSBTi承認申請も同様。
well-below 2°Cシナリオの再承認のタイミングは、2020年までに目標が承認されていた企業は、2025年が期限。それに間に合わなければ、SBTi承認が取り消される。2021年以降に承認された企業は、承認から5年後の日が再承認期限となる。
今回の方針変更に伴い、SBTiは組織内部のガバナンスも強化。独立したテクニカル意思決定機関を設置し、シナリオの選択、目標設定方法、基準の承認・改訂等の権限が、同機関に移された。
SBTiには、11月に開催される国連気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)に向け、申請企業が急増している模様。SBTiは、COP26前に判定を受け取るためには、8月2日までにSBTiに申請する必要があると、期限を設けた。
【参照ページ】Climate ambition: SBTi raises the bar to 1.5°C
【参照ページ】Companies must submit targets by deadline to guarantee result before COP26
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