自然資本会計スタンダード策定の国際プロジェクト「Transparent」は7月28日、 自然資本会計メソドロジー原則の素案を発表し、パブリックコメント募集を開始した。締切は9月30日。Transparentプロジェクトは、EUが助成金を出しているプロジェクトで、EU企業サステナビリティ報告指令(CSRD)での自然資本会計の議論にも影響を与えるとみられる。
Transparentは、EUの環境・気候変動補助金制度「LIFEプログラム」の支援対象のプロジェクトで、Value Balancing Alliance(VBA)とも連携。プロジェクトのパートナーには、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)とCapitals Coalitionが参画している。
今回示されたメソドロジー案は、気候変動、生物多様性、生態系等の幅広い自然資本に関する会計ルールの原則を整理したもの。同様の分野では、プロジェクトに参画しているVBA、WBCSD、Capitals Coalitionも活動をしており、他にも同様の動きがある。今回3者は、考え方の整理で壁に直面しており、連携して基礎的な考え方を揃えにきた。これにより策定したルールの国際的な影響力を狙っている。
(出所)Transparent
今回の原則素案では、インパクト・パスウェイの明確化の必要性、意思決定に資するものとするための算定基準の統一化、価値会計上の付随の概念分野の整理の必要性を伝えた。また、製品ライフサクルアセスメントと産業連関表を用いた分析の整合性も検討すべきとした。算定すべき領域の考え方としては、自然資本への事業の依存度と事業価値の算出を最優先の核に据えるべきと提唱した。
Transparentプロジェクトの最終結論は、EU欧州委員会に答申される。また、Transparentプロジェクトには、Alignという姉妹プロジェクトがあり、Transparentが大気、水、土地に焦点当てた企業向けの自然資本会計の原則を策定しているのに対し、Alignは策定された原則をベースに、生物多様性に焦点を当てた補助ガイダンスを策定する。
【参照ページ】Transparent Project Launches Public Consultation for Standardized Natural Capital Accounting Methodology for Business
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