マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)10月21日、加盟206ヶ国・地域が参加した10月本会合(プレナリー)の議長声明を発表した。暗号資産(仮想通貨)、クロスボーダー送金、資産の実質的所有者等で決議が採択された。
暗号資産では、2019年に策定した「仮想資産およびVASPに対するリスクベースドアプローチのための2019年ガイダンス」を改訂することで合意。「仮想資産およびVASPに対するリスクベースドアプローチのための2021年ガイダンス」の原案を公表し、パブリックコメントにかけることとなった。内容では、暗号資産及びVASPの定義を明確化した上で、ステーブルコインへのFTAF基準の適用の在り方を示した。また、ピア・ツー・ピア取引のリスクを取り上げ、これらのリスクを特定・軽減するための政策手法も解説した。
クロスボーダー送金では、政策課題分野として「顧客・実質的支配者(BO)の特定・検証」「制裁スクリーニング」「顧客及び取引情報の共有」「コルレス銀行関係」等を特定した。今回採択したレポートは、クロスボーダー送金では、2020年10月のG20財相・中央銀行総裁会議で承認された金融安定理事会(FSB)作成ロードマップにおいて、FATF が主担当となる「BB5:AML/CFT規則の一貫的かつ包括的な適用」において、送金事業者に対するアンケート調査や民間セクターとの意見交換を結果をとりまとめたもの。
実質的所有者の基準強化では、FATFが6月に作成した「法人の受益者所有権の透明性に関する勧告24」の要件強化で、主要政策分野の変更に関する案を承認。今後パブリックコメントにかける。特に、実質的所有権の情報収集のための多面的アプローチ、無記名株式およびノミニー・アレンジメントの濫用防止措置、リスク・ベース・アプローチおよび管轄当局による実質的所有者に関する正確、適切かつ最新の情報へのアクセスが重要テーマとされた。
さらに、密輸等の環境破壊とマネーロンダリングの関係性でも、FTAF用語集に環境犯罪の例を追加し、環境犯罪対策もマネーロンダリング対策として位置づけることを強化することで合意した。具体的には、野生生物の違法取引、廃棄物の違法取引、違法伐採等。
国別対策では、ヨルダン、マリ、トルコを新たに強化モニタリング対象国に指定。一方、モーリシャスとボツワナは強化モニタリング対象国から解除した。
【参照ページ】Outcomes FATF Plenary, 19-21 October 2021
【参照ページ】Mitigating the Unintended Consequences of the FATF Standards
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