国連グローバル・コンパクト(UNGC)、CDP、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4者が運営する気候変動に関する科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)は10月28日、科学的根拠に基づく企業のカーボンニュートラル目標基準「ネットゼロ・スタンダード」を発表した。早速、グローバル企業7社が目標承認を受けた。
今回開発した「ネットゼロ・スタンダード」は、SBTiが運営しているSBTの強化版。SBTが、科学的根拠に基づく「削減」目標なのに対し、「ネットゼロ・スタンダード」は、削減されずに残った排出量をオフセットしてカーボンニュートラル化するところまでをスコープとしている。そのため、どのような手法のオフセットが認められるかが、大きなポイントとなった。
【参考】【国際】SBTi、CO2排出量の「ネット・ゼロ」の定義発表。カーボンオフセットの活用シーンも限定(2020年9月16日)
「ネットゼロ・スタンダード」の手法開発は、2020年10月から作業を開始し、2月に最初のパブリックコメントを募集。6月に原案を公表し、9月から2回目のパブリックコメントを募集。今回正式にリリースした。
策定されたフレームワークでは、科学的根拠に基づくネットゼロでは、2050年までにスコープ1、2、3の全体で90%から95%の二酸化炭素排出量を削減した上で、残存排出量を「中和(ニュートラライゼーション)」することを課している。削減率はセクター毎に目安が設定されている。中和化には、自然を軸としたソリューション(NbS)、直接大気回収(DAC)、地下貯留等がある。加えて、長期目標だけでなく短期目標の科学的根拠に基づく設定も義務付けられている。
目標承認を受けた最初の7社は、アストラゼネカ、CVSヘルス、電通インターナショナル、ホルシム、JLL、オーステッド、ウィプロ。他の企業に関しては、2022年1月から承認手続を開始する。
ネットゼロ・スタンダードは、事業会社向けの世界初の科学的根拠に基づくカーボンニュートラル認定制度。従来のSBTも引き続き運営される。SBTiは、金融機関向けのネットゼロ・スタンダードの開発も進めており、11月に内容案を公表し、パブリックコメントにかける。
【参照ページ】SBTi launches world-first net-zero corporate standard
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