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【国際】東京栄養サミット、N4G投資家宣言やIFBA減塩コミット等が表明。WBCSDも前進

 日本政府は12月7日、「東京栄養サミット(Nutrition for Growth(N4G)Summit」を主宰した。同サミットは、英国政府の働きかけで発足した国際会議。2013年に英国ロンドン、2017年にブラジル・リオデジャネイロで過去2回開催されており、今回は当初予定より1年遅れての東京での開催となった。次回は2024年にフランスで開催予定。栄養サミットは、2012年ロンドン・オリンピックの英国政府が提唱したため、毎回、オリンピックの開催都市で行われることが慣行となっている。

 同サミットでは、国際的な企業栄養イニシアチブ「栄養アクセス・インデックス(Access to Nutrition Index:ATNI)」の投資家グループを代表し、署名機関のりそなアセットマネジメントの西岡明彦社長がスピーチを実施。N4Gで投資家がスピーチを行うのは今回が初。ATNI投資家グループが「N4G投資家宣言(N4G Investor Pledge)」を同日に発表したことを紹介した。N4G投資家宣言にはすでに53の機関投資家が署名。運用資産は12.4兆米ドル(約1,400兆円)。

 同宣言では、全ての食品企業に対し、世界的な栄養問題に関連するビジネスリスクと影響を最小限に抑え、投資家の利益と社会への還元を高めるため、3つの内容を要請した。

  • 健康的な食品の売上比率、また商品ポートフォリオの中で健康的な食品が占める割合の年次報告
  • 豪政府のHealth Star Rating(またはNutriScoreなど、同様に独立した機関で開発され、ガバナンス体制が確立されている)栄養プロファイリング・モデル(NPM)を活用した健康食品の定義付け
  • ATNI投資家グループが発表した「栄養、食、健康に関する投資家からの要望」フレームワークを活用し、ガバナンス、戦略、ロビー活動、透明性の4つの柱に含まれる国際目標を採用

 同宣言は、政府に対しても、財政政策や法規制も活用しながら、健康的なパッケージ食品(農作物以外の包装販売される全ての食品)が提供されるよう、地球規模での移行を推進することを要請。国際栄養目標の達成に向けた国内外でのコミットメントを強化することも要請した。

 同宣言に署名したのは、りそなアセットマネジメント、三菱UFJ信託銀行、野村アセットマネジメント、富国生命投資顧問、リーガル&ゼネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)、アクサ・インベストメント・マネージャーズ、BNPパリバ・アセット・マネジメント、UBSアセット・マネジメント、ピクテ、ピムコ、Mirova、Aviva Investors、フェデレーテッド・ハーミーズ等。

 ATNI投資家グループは2020年に「栄養、食、健康に関する投資家からの要望」を発表。その後、日本語を含めた複数言語に公式翻訳されており、今回の東京栄養サミットにも公式に上程された。

 また、過去2年間、N4Gのアドバイザリーグループに参加し、N4Gビジネス構成員グループ(BCG)の共同議長を務めた持続可能な開発のための経済人会議(WBCSD)もスピーチを実施した。WBCSDは、東京栄養サミットに向け、1月にコミットメント策定フレームワーク「Responsible Business Pledge for Better Nutrition(RBP)」を策定。企業経営者に対し、栄養を取締役会レベルの優先事項とすることを求め、各企業の署名者には、N4Gに対して少なくとも3つのSMART(具体的・測定可能・達成可能・関連・期限が明確)フレームワークに基づくコミットメントを行うよう求めていた。

【参考】【国際】東京栄養サミット協力5団体、食料・農業関連企業にコミットメント発表要請(2021年10月9日)

 WBCSDは、東京栄養サミットに向け、内部プロジェクト「Food Reform for Sustainability and Health(FReSH)」を中心に検討・協議・準備を進めてきた。すでにRBPに基づく目標を発表した加盟企業は29社に達し、なかにはカーギル、ダノン、DSM、グーグル、イケア、オーラム・インターナショナル、ユニリーバ等がある。

 国際食品・飲料アライアンス(IFBA)も、東京栄養サミットに向け、減塩に関するコミットメントを策定。2025年と2030年に向け、約40種類の食品カテゴリーでのパッケージ食品のナトリウム含有量の上限に関する新たなグローバル目標を設定した。IFBAの加盟企業は、売上75%以上を占める主要な食品カテゴリーで同目標を達成することを掲げた。IFBAには、コカ・コーラ・カンパニー、ペプシコ、マクドナルド、ネスレ、ダノン、フェレロ、ユニリーバ、ゼネラル・ミルズ、モンデリーズ・インターナショナル、ケロッグ、マース、グルポ・ビンボが加盟している。

 さらにIFBAは、「グローバル・レスポンシブル・マーケティング・ポリシー」を策定。13歳未満の子供向け製品で、特定の栄養基準を満たす製品販売に限定するか、13歳未満の子供へのマーケティングを完全に控えることも宣言した。上記2つのコミットメントについては、12月8日の東京栄養サミットのセッションの中で詳説される。

 政府からのコミットメントでは、主催国の日本政府からは、岸田文雄首相がスピーチし、今後3年間で3,000億円の栄養分野での対外支援を表明。米国からは、国際開発庁(USAID)から、今後3年間で110億米ドル(約1.2兆円)の支援を表明し、そのうち30億米ドル(約3,400億円)は緊急人道支援とすることを宣言した。EUからは2024年までに25億ユーロ(約3,200億円)の支援表明があった。

[2021.12.14修正]
一部内容を修正した。

【参照ページ】ATNI Investor Group
【参照ページ】Businesses are partnering to tackle malnutrition for healthy people and a healthy planet
【参照ページ】What is business committing at the Nutrition for Growth Summit 2021?
【参照ページ】International Food & Beverage Companies Commit to Reduce Sodium Globally in Manufactured Foods
【参照ページ】東京栄養サミット2021 岸田総理大臣スピーチ
【参照ページ】ADMINISTRATOR SAMANTHA POWER AT THE TOKYO 2021 NUTRITION FOR GROWTH SUMMIT
【参照ページ】EU pledges €2.5 billion to combat malnutrition with partner countries

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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