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【国際】鉱業や電力・エネルギー業界、水問題による座礁資産化リスク増大。CDP調査

 国際的な環境情報開示推進NGOのCDPは9月1日、水分野の座礁資産問題を分析した初のレポート「High and Dry」の日本語版を公表した。英語版は、国際環境NGOプラネット・トラッカーと協働で、5月に公表されていた。レポートは、スイス連邦環境局(FOEN)が製作資金を拠出した。

 同レポートは、石油・ガス、電力、石炭、金属・鉱業の4セクターを対象。座礁資産では、気候変動問題により二酸化炭素排出量制約の観点から資産価値が失われる資産のことを指してきたが、今回は水関連問題増加による水消費量制約の観点から座礁資産化する資産を分析した。その結果、すでに135億米ドル(約1.9兆円)の資産がすでに座礁資産化しており、しさらに20億米ドルが座礁資産化リスクにさらされていると発表した。

 水観点での座礁資産化の要因には、水ストレスの増加、旱魃、洪水、水質低下、異常気象等の物理的リスクの他、法定取水制限強化等の規制リスク、地域社会の反対等のレピューテーションリスクが含まれる。

 CDPウォーターでの調査では、多くの企業から、水問題は操業リスクとなるとの回答を得ており、影響分野では「生産能力の減少・混乱」が44%で最多。続いて、「運営コストの増加」が24%、「売上・生産量減少による収益減少」が11%、「サプライチェーンの混乱」が9%、「事業撤退」が8%の順。国連は2016年、現在の傾向では2030年までに世界の水供給が40%不足すると予測。今後悪化が加速するおそれがある。

 今回の調査では、対象4セクターのうち、石油・ガス業界での対応が大幅に遅れていることが鮮明となった。さらに同報告書は、世界で最も水への影響が大きい企業42社と、当該42社に株式や債権で投融資しているエクスポージャーの大きい金融機関20社を特定した。20社の株式保有額は、合計2.7兆米ドルで、中には政府株主も含まれる。さらに過去10年間での20社の投融資額は2.5兆米ドルと多いこともわかった。今後5年間で融資3,270億米ドル程度が満期を迎えるため、借換リスクも潜在化している。

 CDPの金融セクター側のデータと照合したところ、金融機関の3分の1が、当該問題を認識しておらず、投資や融資の決定時に水の不安全性の影響を評価していないこともわかった。

【参照ページ】Financial institutions deeply exposed to stranded assets caused by global water crisis
【レポート】水問題による座礁資産

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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