欧州委員会は11月10日、自動車の新たな排ガス規制基準「ユーロ7/VII」案を発表した。自動車とバンでは2025年7月1日、トラックとバスでは2027年7月1日の適用を予定。今後、EU理事会と欧州議会での審議に入る。
今回の発表では、現行の基準では自動車・バン向けの「ユーロ6」とトラック・バス向けの「ユーロVI」で、別々に定められていた排ガス規制基準を一本化し、電気自動車(EV)を含むすべての車両で一律の基準を設けた。使用する燃料や扱う技術関係を問わず、同様の制限を適用する。これにより、特にトラックとバスの規制が大幅に強化され、新たに一酸化二窒素(N2O)も規制対象となる。
さらにタイヤやブレーキが点源となるマイクロプラスチックの規制基準も、世界で初めて新規導入される。これにより、電気自動車や燃料電池自動車(FCV)でも別の対策が必要となる。
EVに関しては、バッテリーの耐久性で基準を設け、EVの普及を促進。これによりバッテリーの寿命を長くし、バッテリー生産の省資源にもつなげる。
規制が適用される車両の状態に関しても、EUの車の平均使用年数が12年であることを考慮し、車両適合性の保証する期間が、これまでのユーロ6/VIの車齢5年、走行距離が10万kmから、ユーロ7/VIIでは車齢10年、走行距離20万kmへと2倍に延ばす。
今回の発表は、自動車による汚染物質を削減するためのもの。EU域内で排出される窒素化合物(NOx)の39%以上、PM2.5とPM10の10%以上が車両の排気によるものとなっている。EU内で早期死亡している30万人のうち、7万人が大気汚染が原因と推定されている。
新規制の適用による効果は、2035年の自動車とバンからのNOxの排出量がユーロ6/VIと比較して35%、トラックとバスから56%の削減、粒子物質の排出量はそれぞれ13%、39%、ブレーキからは27%削減見込み。測定手法に関しても、ユーロ6/VIで排ガス不正問題が多発したことを受け、路上での排出量を実測する新たな試験(RDE法)を導入する。
これに対し、欧州自動車工業会(ACEA)は懸念を表明。理由は、特にトラック・バスの規制が大幅に強化されることで、トラック・バスのメーカーは、短期的な規制をクリアするため、長期的なEVバスやFCVバスへの集中投資が妨げられるとした。そのため、ユーロ7ではタイヤやブレーキからのマイクロプラスチック規制に集中すべきだと伝えた。
【参照ページ】Commission proposes new Euro 7 standards to reduce pollutant emissions from vehicles and improve air quality
【参照ページ】New ‘Euro’ pollutant emission proposal risks slowing down transition to zero-emission transport
【参照ページ】ACEA proposals for Euro 7 and Euro VII emission standards
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