欧州委員会は11月9日、EUの新しい経済的ガバナンスの枠組みを構築するための改革案を採択したことを発表した。
今回の発表は、2024年以降の中長期的な公的債務比率の削減と加盟国の裁量を拡大することが目的。財政の持続可能性を担保しつつ、将来のグリーン、デジタル、レジリエントな経済の構築を目指す。
今回の発表では、主に「加盟国の手続きの簡素化」「マクロ経済的な不均衡に対する政策強化」「サーベイランスプログラムの強化」の3点が提案された。
1つ目の加盟国の手続きの簡素化では、まず、欧州委員会が各加盟国の赤字がGDP比3%以下となるよう設計した今後4年間の財政調整の方針を提示する。次に、加盟国が中期的な財政計画と改革案、公共投資等のコミットメントを定めた計画を提出する。その際に、財政調整の期間を最大3年間延長することを交渉可能。
次に、欧州委員会は提出された財政計画を評価し、問題がなければ理事会で承認する。その後、加盟国は年次報告書を提出し欧州委員会が進捗をモニタリング。なお、これまで同様に公的債務比率がGDPの6割を超えた場合には、赤字超過手続き(EDP)が適用され制裁が課される。
2つ目に、マクロ経済的な不均衡をより効果的に予防・是正するために、欧州委員会と加盟国での共通認識を持つためのコミュニケーションを重視する。欧州委員会はマクロ経済的な不均衡に関する調査を毎年実施しており、その強化を図る方針。
最後に、サーベイランス機能を強化する。金融支援プログラムを受けている加盟国の返済能力をより適切に評価し、柔軟性を高める方針を示した。支援開始後の初期のサーベイランスでは、支援計画にある未実施の政策の実現に向けた監視を強度高く実施し、改革案の実行に伴い監視強度を低くする。経済、財政、金融の状況が悪化した場合には、再びサーベイランスの強度を上げ、是正措置の検討を行うとした。
今後、欧州議会とEU理事会の審議に入る。2023年3月までに今後の財政政策に関するガイダンスを発表する予定。
【参照ページ】Building an economic governance framework fit for the challenges ahead
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