国際標準化機構(ISO)は11月16日、カーボンニュートラル規格「ネットゼロ・ガイドライン(IWA42)」を発行した。Our 2050 Worldが策定を委託していた。
Our 2050 Worldは、国連の気候変動キャンペーン「Race to Zero」、Global Innovation Hub、ISOの3者が運営するプログラム。2021年の国連気候変動枠組条約第26回グラスゴー締約国会議(COP26)の場で発足し、英規格協会(BSI)が運営。2050年までにカーボンニュートラルを達成するための移行を加速するために協働を開始。ガイドライン策定もアクションプランの一つとして掲げていた。
国連では、「非国家主体ネットゼロ・エミッション・コミットメント専門家グループ」が11月、国連気候変動枠組条約第27回シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)の場で、企業や自治体等がカーボンニュートラル宣言をする際の信頼性と透明性を担保する基準を提示している。今回のIWA42は、同専門家グループが掲げた基準とは別で策定作業が進められていた。そのため、目的は同じだが、必ずしも完全に整合しているわけではない。
【参考】【国際】国連専門家グループ、カーボンニュートラル宣言要件を提言。グリーンウォッシュ防止(2022年11月10日)
IWA42には、スコープ1、2、3の排出量の開示だけでなく、削減に関する長期目標及び中間目標の設定や、モノ・ヒトの配分も開示すべきとした。さらにオフセットの計画、土地利用変化による排出量と除去量の個別開示もすべきとした。
目標設定の仕方でも、2050年までにカーボンニュートラルを達成する長期目標と、2030年までのスコープ1、2、3の排出量の大幅削減を達成する中間目標の設定を要求。目標は5年以内のスパンで定めるべきとした。
さらに検討推奨事項としては、2030年までに2018年比で50%削減という世界全体の在るべき姿と同等もしくはそれ以上の目標を設定することや、スコープ1とスコープ2ではオフセットなしでゼロにした上で、スコープ3では削減できずにオフセットに頼る量を全体の5%未満に抑えること等も盛り込んだ。
他にも、セクター別の削減目標の開示や、掲げる目標や行動計画では、ネイチャーポジティブの確保や、環境・社会セーフガードも適用すべきとした。
今回策定されたIWA42は、通常のISOの委員会ではなく、正規プロセスでは手法で柔軟に規格を策定する国際ワークショップ協定(IWA)の仕組みで策定された。100カ国1,200人以上の専門家が意見した。そのため、ISOの規格ながらも理想を示した任意のガイダンス的な正確が強い。
【参照ページ】Net Zero Guidelines
【参照ページ】COP26: “Our 2050 World” pledges to accelerate non-state actors in the Race to Zero using standards
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