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【国際】FAO、食料・農業の将来展望を報告。「早急に大転換しなければ食料システムは破綻」

 国連食糧農業機関(FAO)は12月2日、食料・農業の将来展望を分析した報告書を発行した。大規模な転換を早急に実現しなければ、人類に悲劇的な状況をもたらすと警鐘を鳴らした。

 同報告書は、相互に関連する18の社会経済的および環境的な変化をドライバーと呼び、それらが農業、食品加工、食品消費を含む農産物システムで起こる影響を分析した。18のドライバーには、人口動態・都市化、経済成長、国際的な相互依存性、ビッグデータ活用、地政学的な安定性、突発的な不確実性、都市と農村での貧困、不平等、食料価格、イノベーション、公共投資、資本へのアクセス、市場集中、消費・栄養パターン、自然資源の希少性、感染症・生態系劣化、気候変動、持続可能な海洋経済。

 その上で、4つの将来シナリオを作成した。

  • More of the same(MOS):事象や危機への対応を一応しながら、システム崩壊を避けるために必要なことだけを行い、農産物システムの持続可能性の劣化と多くの人々の生活条件の悪化を招き、システムの破綻の可能性を長期的に高めるシナリオ
  • 底辺への競争(RAB):社会経済、環境、農業システムのかなりの部分が崩壊し、非常に多くの人々や生態系にとって多大なコストになり、ほとんど取り返しのつかない結果を招いた後、最悪の状態へと導くシナリオ
  • 調整された未来(AFU):国連持続可能な開発目標(SDGs)の目標達成に向け持続可能な農業食糧システムへの転換が始まり、ウェルビーイングの面で多少の改善が見られたが、全体的なサステナビリティとシステムのレジリエンスが欠如し、長期的なウェルビーイングは実現できないシナリオ
  • 持続可能性のためのトレードオフ(TOS):認知、教育、社会的コミットメント、責任感、参加によって、多くの国でパラダイム転換が起こり、短期的な国内総生産(GDP)の成長を擬制しながら、農業、社会経済、環境システムのインクルーシブ、レジリエンス、サステナビリティを実現するシナリオ

 望ましいシナリオを実現するための「トリガー」としては、ガバナンスの改善、消費者への重要な情報へのアクセス、所得と富の分配の改善、イノベーションの4つを掲げた。特に、政府、消費者、企業、アカデミアが異なる機能を持ちながらも全体として収束する目的をもって相互作用する「効果的な参加型かつ斬新なマルチレベルのガバナンス」モデルを提唱した。また、イノベーションを加速し、得られる果実を最も脆弱なグループにもアクセス可能な状態にすることも重視した。消費者に、環境・社会・栄養の情報を伝えて、ベターな食品に需要をシフトさせることも重要とした。

 FAOは12月12日には、「世界食料・農業統計年鑑」の2022年版を発行。農業雇用、農業・食料貿易、肥料・農薬使用、環境・気候要因の4つテーマについて、FAOSTATデータプラットフォームから抽出した重要データを数百ページにまとめている。世界の食料輸出は1兆4,200億米ドルに上り、2000年以降3.7倍に増加。最大の純輸入国は、中国、日本、英国の3つ。

【参照ページ】New UN report warns that global food crises ‘likely to increase’ in the future without wider systemic change
【参照ページ】The future of food and agriculture – Drivers and triggers for transformation
【参照ページ】FAO’s Statistical Yearbook for 2022 goes live

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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