英環境シンクタンクNGOプラネット・トラッカーは12月8日、水産物の乱獲・IUU漁業リスクを可視化したデータベースを公開した。水産関連世界大手100社を対象。各種データベースを参照し、リスク評価を行った。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に関するデータ提供の一環。
同データベースでは、水産物への投資比率が高い企業100社の情報を公開。時価総額合計は1.8兆米ドル(約240兆円)。100社のうち84%が欧州もしくはアジアに本社を置く企業。国別企業数では、ノルウェーが20社で最多で、2位が日本の17社。続いてデンマーク8社、チリ6社、中国6社の順。日本企業の対象は、日本水産、マルハニチロ、ニチレイフレッシュ、極洋、横浜冷凍等。2023年にさらに対象企業を増やす計画。
同データベースは、50の指標を公開し、捕獲・加工した魚種、量、地域、手法を確認することが可能。各社ごとに異なる魚種の公開情報を手作業で確認し、国連食糧農業機関(FAO)のFAO-ISSCAAP分類を用いて整理した。
今回の発表では、同時に現状分析報告書も発表。水産世界大手100社の中で捕獲・加工魚種を開示している企業は8社しかなく、リスクと機会の正しい評価を妨げているとした。また、捕獲した魚種や地域に関する情報開示のレベルの低さも指摘。情報開示レベルをスコアリングした結果、最高得点は100社中ノルウェーの2社のみ。
同報告書では、違法・無報告・無規制(IUU)漁業のリスクの推定も実施。乱獲リスクと財務パフォーマンスの相関分析では、相関係数は37%で多少の相関関係がみられ、乱獲によって短期業績向上を図っているという構造的課題もみえてきた。
【参照ページ】PLANET TRACKER PROVIDES GREATER TRANSPARENCY INTO THE SEAFOOD INDUSTRY WITH THE LAUNCH OF ITS NEW DATABASE
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