消費者庁は12月27日、「ステルスマーケティングに関する検討会報告書」を公表した。ステルスマーケティングに対する景品表示法による規制が必要と結論づけた。インターネット以外での行為も対象となる。
同報告書では、広告主が自らの広告であることを隠したまま広告を出稿する行為等を「ステルスマーケティング」と定義。日本には、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為を規制する法律として「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」があるが、表示内容に優良誤認・有利誤認がない場合は、景品表示法で、ステルスマーケティングを規制できないと指摘。一方、諸外国では、ステルスマーケティングに対する法規制が存在する一方、日本においては法規制の整備が不完全な状況となっているとの課題感を示した。
同検討会では、広告代理店やインフルエンサーからのインタビューを実施し、日本でもステルスマーケティングの慣行が広く普及していることを把握。また学術的にも、ステルスマーケティングの効果としては、広告であることを開示すると消費者の商品に対する好感度を下げ、逆に、広告であることを隠すと商品に対する好感度が上がり、また、不正レビューによって低品質商品の需要が増える結果、消費者の高品質商品の購買機会が奪われることになり、1万円の買い物に対して、1,200 円の損失が生じると推計される等の理論的裏付けも得た。
さらに、広告代理店、PR会社、プラットフォーム提供事業者、新聞社、事業者団体の合計16者に対し、ステルスマーケティングに対する規制の必要性や既に講じている対策等についてヒアリングを行ったところ、いずれの関係事業者も、ステルスマーケティングを規制すべきと考えており、消費者の信用確保のために、既に自主的に対策を講じている者もあった。
今後の規制の方向性としては、景品表示法第5条第3号の告示に新たに指定することが妥当と判断。優良誤認・有利誤認だけでなく、第3号では、「自己の供給する商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示」を広く禁止することが可能であり、ステルスマーケティングを禁止する告示として、「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」を禁止事項とすることを提言した。
【参照ページ】ステルスマーケティングに関する検討会
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