タイ食品大手チャロン・ポカパン・フーズ(CPF)は1月18日、カーボンニュートラル達成に向けた具体的なロードマップを発表した。食料安全保障と食料サステナビリティの双方を達成するため、「3Smartアプローチ」を始動する。
CPFも属しているタイ財閥チャロン・ポカパン(CP)グループは、2021年11月にカーボンニュートラル目標を発表。2030年までにスコープ1と2、2050年までにスコープ3を含めてカーボンニュートラルを宣言した。またその中で、CPFとしては、2022年までに石炭火力発電電力を全廃することも表明していたが、今回の発表では2023年に脱石炭火力を達成する考えも明らかにした。
具体的なロードマップでは、バイオサーキュラー・グリーンエコノミー(BCG)のコンセプトに則り、タイの事業ではバイオエネルギーに重点を移すと表明。すでに同社の再生可能エネルギー比率は30%を占め、タイの食品企業ではトップクラスになっているという。12月には、タイのチャイヤプーム県で、同社の孵化場や養鶏場から出る排泄物と卵殻をバイオ肥料に変えるプロジェクトにも成功したと発表している。
さらに今回発表した「3Smartアプローチ」では、スマート調達、スマート生産、スマート消費の3つを導入し、イノベーション、テクノロジー、オートメーションシステムを活用した戦略を進める。スマート調達では、とうもろこしや大豆等の主要な農業作物は、トレーサビリティを確保し、森林破壊を伴わない状態を構築。スマート生産では、バイオマスや廃棄物、排水、家畜排泄物のエネルギー化を進める。スマート消費では、食品のカーボンフットプリントを算出し、削減計画を策定する。同社は今回、世界の食料安全保障のためにも、気候変動の緩和が重要と言及した。
同社は今回、事業部単位で、科学的根拠に基づく削減ロードマップを策定していく方針も打ち出した。同社は、全社単位では、すでに科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)から目標の承認も得る作業も進めている。
CPFは2022年12月には、サプライヤー200社以上に対し、気候変動を含めた大規模なESGセミナーも開催。セミナーでは、サプライヤーの気候変動、自然資本、社会性の向上のため、タイ国立開発行政研究所(NIDA)、サウスポール・タイランド、タイ投資庁(BOI)の3機関からも専門家が登壇した。
気候変動以外では、すでに薬剤耐性(AMR)の問題にも着手。抗生物質耐性遺伝子を持たない革新的なプロバイオティクスを給餌した食肉製品の開発に成功しており、すでに同社のプレミアム商品「チーバポーク」と「ベンジャチキン」では、抗生物質や成長ホルモンを追加で使用せずに100%栽培されたものとして、タイ国立衛生財団(NSF)から認定も受けている。タイ畜産開発省の目標に基づき、タイ全土の畜産業で抗菌剤使用を削減していくことも伝えている。
【参照ページ】CPF unveils roadmap towards Net Zero, kicked off with 100% abandonment of coal use in Thailand
【参照ページ】CP Foods improves its suppliers’ capacity to tackle climate change
【参照ページ】CP Foods promotes BCG model in egg production turning eggshells into biofertilizer
【参照ページ】CP Foods pledges to improve free antibiotic meat products
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