国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は3月8日、マレーシアの再生可能エネルギー転換の戦略に関する報告書を発表した。2050年までに再生可能エネルギー比率を50%以上にし、年間最大130億米ドル(約1.7兆円)を削減できるとした。
今回の発表は、IRENAとマレーシア天然資源・環境・気候変動省により共同で作成されたもの。IRENAの1.5℃シナリオに合わせた戦略に変更することで、2050年までに再生可能エネルギーの構成比を現在の5%から50%以上に引き上げることができるとした。同国は2050年までにカーボンニュートラルを達成することを宣言。2050年に経済規模は現在の約3倍になると予測されており、大幅に増加する電力需要に対してクリーンで持続可能なエネルギーシステムを構築する必要がある。
今回の発表では、既存のエネルギーシナリオ(PES)と再生可能エネルギー導入シナリオ(TES)を比較した場合、PESよりも年間90億米ドル(約1.2兆円)のコスト削減ができ、健康や気候変動の影響による損失を年間20億米ドル(約0.3兆円)から40億米ドル(約0.5兆円)節約でき、最大130億ドル(約1.7兆円)のコスト削減が可能だとした。
TESのシミュレーション結果では、電力の最終用途における電化が進み、現在の一次エネルギー供給量の約4分の3を化石燃料が占めている状態から、最終エネルギー消費の40%を電気が占めるようになる。そのため、ブルー水素による発電、太陽光発電、蓄電池等の主要技術の利用可能性を十分に検討する必要性を報告した。
電力システムが再生可能エネルギー100%としたケース、90%の再生可能エネルギーと炭素回収・貯留(CCS)を組み合わせたケースのエネルギー転換シナリオを提示し、2050年までに最大153GWの太陽光発電、782GWの蓄電池、1.1億台の電気自動車(EV)の導入する必要性を示した。
最後に、マレーシアで再生可能エネルギーへ転換するために必要なエネルギーシステムと政策計画、規制と法的な枠組み、テクノロジーとイノベーション、ファイナンスの4つの観点に関するアクションを提言した。
【参照ページ】Renewables Are the Solution to Malaysia’s Sustainable Future and Renewed Climate Ambition
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