⽂部科学省初等中等教育局は7月4日、教育委員会教育長、都道府県知事、国公立大学長等に対し、「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を発行した。機動的な改訂を想定している。
同省は今回のガイドライン制定に背景について、ChatGPT等の生成AIに関する政府全体の議論、G7教育相会合における認識の共有、中央教育審議会デジタル学習基盤特別委員会等での意見聴取を経て、まとめたと表明。児童・⽣徒や教師を含め、社会に急速に普及しつつある現状もあり、⼀定の考え⽅を国として⽰すことが必要とした。
同ガイドラインでは、生成AIの例として、ChatGPT、Bing Chat、Bard等を挙げ、あらかじめ膨⼤な量の情報から深層学習によって構築した⼤規模⾔語モデル(LLM)に基づき、ある単語や⽂章の次に来る単語や⽂章を推測し、「統計的にそれらしい応答」を⽣成するものと定義。指⽰⽂(プロンプト)の⼯夫で、より確度の⾼い結果が得られると同時に、回答は誤りを含む可能性が常にあり、時には、事実と全く異なる内容や、⽂脈と無関係な内容などが出⼒される「幻覚(ハルシネーション)」リスクもあるとした。
同省は、生成AIを小学校から高校までの初等中等教育課程で活用する在り方について、「信頼性に関する懸念」を理解しつつ、最後は⾃分で判断する基本姿勢を保持しながら、活用を認めていく考えを示した。そのため、回答を批判的に修正するため、対象分野に関する⼀定の知識や⾃分なりの問題意識とともに、真偽を判断する能⼒を養っていくことに重きを置いた。また、教師の側にも⼀定のAIリテラシーが必要とした。
具体的には、⽣成AIを取り巻く懸念やリスクに⼗分な対策を講じることができる⼀部の学校で、個⼈情報保護やセキュリティ、著作権等に⼗分に留意しつつ、パイロット的な取組を促進。成果・課題を⼗分に検証し、今後のさらなる議論に貢献していくことを標榜。同時に全学校で、ファクトチェックの習慣づけを含め、情報リテラシー教育に力を入れていくべきとした。さらに、教師のAIリテラシー向上や働き⽅改⾰につなげていくことも掲げた。
夏休みや冬休みの課題として課されている読書感想⽂、⽇記、レポート等については、特に、外部のコンクールへの応募等を推奨したり、課題として課したりする場合には、提出要件としてのAI利用の是非の確認を促した。レポート課題では、⾃分⾃⾝の経験を踏まえた記述や、レポートの前提となる学習活動を踏まえた記述の有無の確認、ファクトチェックの実施等をレポートの評価基準に加えることも有効とした。さらに、課題提出後に、クラス全体⼜はグループ単位等での⼝頭発表を行うことで、実際の習熟度を確認していく工夫も例示した。
今回のガイドラインでは、児童・生徒の親に対する対応指針については示さなかった。
【参照ページ】「初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン」の作成について(通知)
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