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【国際】地政学リスクや化石燃料投資増で、気候変動による金融リスクが悪化の見通し。IMF

 気候変動に関する金融リスクを検討するための中央銀行・金融当局ネットワーク「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(Network for Greening the Financial System;NGFS)」は11月7日、長期的な気候マクロ金融シナリオの第4版を発表した。作成資金は、ブルームバーグ・フィランソロピーとクライメート・ワークス財団が拠出した。

 今回の改訂では、2023年3月時点の最新のGDPと人口の将来見通しや、最新の各国の気候変動コミットメントを反映。また、第4版では、移行リスクと物理的リスクの双方が非常に高くなる「分断化世界(Fragmented World)シナリオ」と、反対にパリ協定目標達成に向けた行動変化が大規模に起こる「低需要(Low Demand)シナリオ」の2つが新たに追加され、合計7つのNGFSシナリオが提示された。


(出所)NGFS

 各NGFSシナリオは、ポツダム気候影響研究所(PIK)、国際応用システム分析研究所(IIASA)、メリーランド大学グローバル・サステイナビリティ・センター(UMD)、クライメート・アナリティクス(CA)、国立経済社会研究所(NIESR)等の学術コンソーシアムとのパートナーシップによって開発されている。

 さらに第4版では、旱魃と熱波のハザードを追加しつつ、地理的な粒度を大きくすることで、急性物理的リスクのモデル化が強化された。今回の分析で、GDPに与える影響は災害の中でも旱魃と熱波の影響が非常に大きいことがみえてきた。さらに、ウクライナ戦争後のエネルギー危機と各国での気候変動政策の遅れも反映された。

 NGFSは2024年にも次の改訂を予定しており、セクター別データと、慢性物理的リスクのデータを含めるべく検討を進めている。

 一方、国際通貨基金は11月28日、複数のグローバルシステムにおける危機が、人類の前途を著しく悪化させるような形で因果的に絡み合った場合に発生するリスクを意味する「ポリクライシス」が引き起こす気候関連の金融リスクを評価する初期分析結果をスタッフ・ノートの形で発表。ウクライナ戦争後のエネルギー危機への短期的対処として、各国政府が化石燃料への投資を拡大させた「カーボン・ロックイン」現象により、従来想定された以上に気候変動による金融リスクが悪化しているとした。

 さらに、米中関係の悪化等で、地政学的緊張に起因する経済・技術協力が低下することで、世界のカーボンニュートラル化に悪影響を及ぼす可能性があることにも言及。再生可能エネルギーの導入コストや重要鉱物のサプライチェーン懸念も悪材料とした。

 これらの分析を踏まえ、IMFはNGFSに対し、NGFSシナリオの作成の中で、ポリクライシスに関連した上記の構造的リスクを踏まえるよう提言した。NGFSは、IMFの分析を歓迎しており、今後もIMFとの協働を進める考え。

【参照ページ】NGFS publishes latest long-term climate macro-financial scenarios for climate risks assessment
【参照ページ】Energy Transition and Geoeconomic Fragmentation: Implications for Climate Scenario Design

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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