気候データ運営委員会(CDSC)であるフランスのエマニュエル・マクロン大統領とマイケル・R・ブルームバーグ国連事務総長特使は12月2日、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)の場で、企業の気候関連データベース「ネットゼロ・データ・パブリック・ユーティリティ(NZDPU)」の概念実証(PoC)を発表した。
【参考】【国際】CDP、NZDPUに気候変動データ提供へ。2024年設問票回答からXBRL対応も(2023年9月24日)
マクロン大統領とマイケル・ブルームバーグ国連気候変動担当特使は2021年9月、CDSCの創設を発表し、2022年6月に正式に設立。元米国証券取引委員会(SEC)委員長のメアリー・シャピロ氏が委員長を務め、2022年11月に「NZDPU開発のための提言」を発表。金融機関向けのデータベースとして、NZDPUの開発に着手していた。また、COP28でPoCを発表すると事前予告していた。
今回発表したPoCでは、企業のスコープ1、2、3の排出量データと、削減目標データを収集データとして特定。まずCDPを通じて提出されたデータを基にデータベースを構築する。PoCに関する意見を幅広く集めるため、2024年3月1日までパブリックコメントを募集する。
NZDPUは、当初は金融機関を想定ユーザーとしていたが、現在は、政府、アカデミアの他、スコープ3算定のためのデータ収集や他社比較を行う企業も主要ユーザーとして認識されている。また、IFRS財団の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が策定した「IFRS S2」や、EUの企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に基づく欧州サステナビリティ開示基準(ESRS)の開示内容も考慮し、NZDPUとして収集していくデータ項目を広げていくことも検討する。
NZDPUは、長期的には、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のグローバル気候行動ポータル(GCAP)に統合され、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のポータル内で閲覧できるデータベースとして発展させていくことを想定している。
すでに、NZDPUは6月、シンガポール通貨管理庁(MAS)及びシンガポール取引所(SGX)グループとの連携を開始し、データ伝送実証をスタート。MASはProject Greenprintを発足し、参加企業が排出量データをNZDPUに送信できるようにする考え。
【参照ページ】President Emmanuel Macron and Michael R. Bloomberg Deliver Proof Of Concept For Groundbreaking Net-Zero Data Public Utility At COP28
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