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米ESG投資推進NGOのCeresは1月24日、投資家の観点から、企業のサステナビリティ関連情報に対する第三者保証の重要性を提唱する報告書を発表。投資家は質の高い信頼できるデータを求めているとし、具体的な第三者保証の要件を提示した。
今回の発表は、企業の気候変動に関する情報開示に関する課題について、20名以上の機関投資家にインタビューを実施した結果をまとめたもの。多くの投資家が、気候関連の投資判断において、一貫性のない手法に基づいたデータや経営的なバイアスを体系的にチェック出来ていないデータに依存することが多いと主張していた。
同報告書は、まず、企業向けの提言を示した。
- 財務諸表の会計方針注記において、エネルギー移行計画(トランジションプラン)と温室効果ガス会計ガイドラインの考慮を強調し、会計方針の策定においてエネルギー移行計画がどのように 考慮されたかを明確にする。加えて、エネ ルギー移行計画、気候変動目標、リスク軽減戦略がどのように財務諸表に反映されているかを示す。
- 気候変動とサステナビリティに関するデータの方法論、主要な前提条件、開示データの作成方法を開示する。
- 二酸化炭素排出量データに関する取締役会の広範な関与とサインオフを含め、気候変動とサステナビリティデータに関する実効性のあるガバナンスを導入する。
- 監査委員会がすべての保証提供者を監督し、会社の報告に対する投資家の信頼を支えるために必要な保証業務の種類、範囲、手続の決定に関与することを確保する。
- データの質を向上させるため、情報開示の各要素における気候変動・サステナビリティデータの明確なデータフローと組織責任構造を作成し、文書化する。
- 財務報告チームをサステナビリティ関連情報の収集と報告に関与させ、財務情報に適用されるのと同じレベルの厳密さでサステナビリティ報告を作成する。
- 第三者保証提供者が、気候データを含むサステナビリティ開示の基礎となる構成要素について、財務諸表の正確性と評価、存在、完全性、権利と義務に関する主張と同様の 検討を行い、報告データの質及びその根拠となる見積もりや仮定に対する説明責任を強化することを確約する。
次に、第三者保証サービスプロバイダー向けの提言も示した。
- 財務データ保証チームとサステナビリティデータ保証チーム間のコミュニケーションラインを構築し、協働する手段を設ける。
- 大局的な思考と内省を可能にする条件を確立する。
- サステナビリティと気候リスクに関する研修を受け、能力を高め、信頼できる気候データに対する需要の高まりに対応できるよう、保証リソースを拡大する。
- 気候変動とサステナビリティに関する短期的な知識ギャップを埋めるため、監査チームに専門家を参加させる。
- 投資家の意思決定に使用される情報に対する投資家の信頼を支えるため、投資家のニーズが手続の範囲と深さに影響を与えるようにする。
- 企業報告の準拠基準の適切性について明示的に言及する。
- サステナビリティ開示に関する保証報告書の標準フォーマットに重要な保証事項を追加する等、投資家のニーズを満たすために保証報告書を進化させる。
同報告書では、投資家が第三者保証を求めるデータ項目についても例示している。具体的には、二酸化炭素排出量、役員報酬で使用されるESGデータ、サステナビリティ・リンク・ボンドのSPTで使われる指標、グリーンボンド調達資金の資金使途への充当状況、カーボンクレジット、自然資本アセスメント、シナリオ分析、気候移行計画での第三者保証を求める声が上がっていた。
また第三者保証のうち、限定的保証をやめ、合理的保証にすべきとも言及した。また、一つの報告書の中で、複数の第三者保証サービスプロバイダーを活用している場合には、重要なリスクが見落とされるリスクがあるとし、全体の第三者保証を1つのチームに依頼すべきとした。このような第三者保証の活用に関する方針については、監査委員会や監査役会が責任をもって説明べきとも伝えた。
【参照ページ】New report finds investors view the quality of available climate data as “insufficient”, recommends broader use of high quality, independent assurance
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