
国際労働機関(ILO)は4月22日、労働安全衛生の観点から、気候変動による労働者リスクを分析した報告書を公表した。世界の労働人口34億人のうち、すでに数十億人が気候変動リスクにさらされていると発表した。
今回の報告書では、労働者を脅かす気候変動リスクとして「猛暑」「紫外線」「異常気象災害」「職場大気汚染」「動物媒介感染症」「農薬被害」の6つを分析した。中には気候変動以外の環境リスクも含まれている。
猛暑に晒されている労働者は2020年統計で24.1億人。総労働人口に占める割合は70.9%にも達し、2000年の65.5%から大幅に増えている。猛暑では毎年2,285万人が労災疾病し、18,970人が死亡している。
異常気象災害では、リスクエクスポージャーのデータが不足しているが、労働者の関連死は年間209万人。感染症も同じくリスク・エクスポージャーデータが不足しているが、労働者の関連死は15,170人以上。
また、大気汚染に晒されている労働者は16億人。年間で86万人が死亡している。紫外線に晒されている労働者は16億人で、死亡者は年間18,960人。農薬に晒されている労働者は8.73億人で、死亡者は30万人以上。
さらに今回の労災統計には、メンタルヘルスが含まれていない。メンタルヘルス疾患については、別途コラムを設けて昨今の知見を紹介しており、農林水産業、警備、医療従事者、災害救助等の職業は、気候変動によってメンタルヘルス上の悪影響が生じるリスクが高いという。
ILOは今回、気候変動の物理的リスクに対応した労働安全衛生法規制を整備していく必要があると指摘した。
【参照ページ】New ILO report to reveal dangerous and long-lasting effects of climate change on workers’ health and safety
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