国際エネルギー機関(IEA)は5月6日、太陽光発電、風力発電、バッテリー、電解槽、ヒートポンプの5つのエネルギー技術の展望について分析した特別報告書を発表した。
同報告書は、太陽光発電、風力発電、バッテリー、電解槽、ヒートポンプの5つのエネルギー技術の展望について分析したもの。2023年7月のG7首脳サミットでの要請を受けて作成された。2023年の投資総額は2,000億米ドル(約31兆円)となり、2022年から70%以上増加、世界のGDP成長率4%を占めた。
(出所)IEA
【参考】【日本】G7広島サミット、首脳コミュニケ発表、閣僚会合の内容をとりまとめ(2023年5月23日)
太陽光発電への投資額は、2022年から約2倍に増加し、バッテリーへの投資は約60%増加。IEAのNZE2050シナリオに基づく2030年時点での必要量に対し、太陽光発電はすでに満たしており、バッテリーの達成率は90%に達している。2023年のクリーンエネルギー技術への投資の約40%は2024年に稼働予定の施設であり、バッテリーではこの割合は70%となる。
(出所)IEA
クリーンエネルギー技術の課題である地域格差においては、中国が各技術でリード。太陽光発電では世界の太陽光発電モジュールの製造能力で80%以上、風力発電では60%以上を占めており、2030年でもその傾向は変わらない見通し。一方で、バッテリー、電解槽、ヒートポンプでは、2030年には米国、欧州の存在感が増し、中国のシェアが低下すると予測した。アフリカでの技術開発は進んでいないが、米国、欧州等の中国以外での開発が進んでいる傾向から、地域偏在解消に向けた可能性が広がるとした。
(出所)IEA
【参考】【国際】再エネ、2023年の新規設備容量の86%占める。地域格差是正が必要。IRENA(2024年4月2日)
コスト面では、すべての技術で中国での製造コストが最も低い。太陽光発電、風力発電、バッテリーに関する製造施設の建設費用は、インドは中国よりも最大30%高く、米国や欧州では最大130%高くなる。
同報告書では、これらの技術の生産コストの大部分は労働力や原材料等の運用コストだとしており、その価格差異は不変ではなく政策介入が可能だとした。製造コストを直接補助する政策だけではなく、人材の確保や既存産業との相乗効果等、開発地域への投資の魅力を高めることで、投資を促す政策の必要性も訴えた。
【参照ページ】Surging investment in manufacturing of clean energy technologies is supporting economic growth
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら