Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の97%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【日本・東南アジア】AZEC第2回閣僚会合、石炭火力早期廃止にも言及。EV投資促進も

 日本と東南アジア、オセアニアの全11カ国は8月21日、インドネシアのジャカルタ市で、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)第2回閣僚会合を開催。共同声明を採択した。

 アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の加盟国は、日本、オーストラリア、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン、カンボジア、ラオス、ブルネイ。AZECは、岸田文雄首相が2022年1月、創設構想を発表し、1年以上をかけ2023年3月に第1回会合が開催された。経済産業省としては、欧米とは異なるアジアの「エネルギートランジション」を打ち出すため、オーストラリアやASEAN諸国の支持を取り付けたい思惑がある。

【参考】【日本】経産省、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)閣僚会合開催。共同声明採択(2023年3月6日)

 日本政府は今回、AZECの原則として、「一つの目標、多様な道筋」という概念を再び強調。地理的、経済的、技術的、制度的、社会的、公平性等に鑑み、各国固有の状況、既存の目標や政策、開発上の課題を考慮した上で、カーボンニュートラルに向けては多様かつ現実的な道筋が存在することを再確認させた。

 協力分野では、再生可能エネルギー、省エネルギー、バイオ燃料、持続可能な航空燃料(SAF)、水素・アンモニア、合成燃料、合成メタン、二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)、省エネ性能の高い建物を例示した。国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)で国際合意となった「再生可能エネルギーの発電容量を世界全体で3倍、エネルギー効率改善率を世界平均で2倍」も確認した。

 一方、天然ガスに関しては、「トランジション燃料として果たす重要な役割を認識」するという表現に留めた。原子力発電に関しては、加盟国毎にスタンスが異なるため、「原子力エネルギーの安全及び平和的利用の協力を選択しうる」とした。廃棄物発電を含む廃棄物からの持続可能なエネルギー生産を推進し、日本政府としては、リサイクルではなく、エネルギー回収に重点を置く姿勢をみせた。自動車でも「ゼロ及び低排出車両の迅速な普及」と曖昧な表現に留めた。

 協力手法では、「政策、資金、人材、技術の分野での可能な協力と強靱性を推進する」とした。資金面では、トランジション・ファイナンスと、ブレンデッド・ファイナンスの重要性を強調した。二国間クレジット制度(JCM)の促進とカーボン市場の開発も盛り込んだ。

 さらに今回の共同声明では、セクター別イニシアチブを3つ創設した。「AZECゼロエミッション電力イニシアティブ」は、需要側による再生可能エネルギーの調達を可能とするための環境の改善や、水素、アンモニア、バイオマス、バイオガス、CCUSに関する制度などの他国の事例を共有する。治水機能を強化し水力発電を促進するための先進的な「ハイブリッドダム」システムの概念も導入する。石炭火力発電のゼロエミッション化では、早期廃止、CCUSの併設、アンモニア混焼・専焼、調整電源への転用を幅広くオプションとし、進める。

 「AZEC持続可能燃料創出イニシアティブ」では、航空分野でのSAFの使用拡大、大型車両、船舶、航空でのバイオディーゼルやバイオエタノールを含むバイオ燃料、水素及びアンモニアの使用拡大でロードマップを策定する。カーボンニュートラルポート(CNP)の形成も促進する。

 「AZEC次世代産業構築イニシアティブ」では、将来に向けて電気自動車(EV)への投資を進めつつ、持続可能燃料の使用と組み合わせた内燃機関エンジン(ICE)及びハイブリッド電気自動車(HEV)を推進し、マルチパスウェイの移行を追求するロードマップを策定する。工業団地では、燃料電池を含む水素とアンモニアの活用の可能性も検討。エネルギーマネジメント、二酸化炭素排出可視化システム、省エネルギー及び再生可能エネルギーの導入を支援するための実証プロジェクトも実施する。

 AZECに基づく検討作業では、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)内に、アジア・ゼロエミッションセンターを設立。調査、ビジョン策定、ロードマップ策定等を担当する。

【参照ページ】第2回アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)でのJCM利活用促進に関する国際会合を開催しました 【画像】経済産業省

author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。