
インドネシア経済担当調整省は5月5日、西スマトラ州で拡張建設予定のムアララボ地熱発電所について、資金調達契約が完了し、建設を開始すると発表した。石破茂首相の特使としてインドネシアを訪問していた岸田文雄元首相との間で調印式を行った。
【参考】【日本・東南アジア】AZEC第2回閣僚会合、石炭火力早期廃止にも言及。EV投資促進も(2024年8月22日)
同地熱発電所拡張計画は、日本政府が2022年1月に発表した。「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想の一環として、日本とのインドネシアの間で協議が続けられてきた。また、日本政府や米国政府を始めとするパートナー国とインドネシア政府との間で2022年11月に合意された「公正なエネルギー移行パートナーシップ(インドネシアJETP)」の一環とも認識されている。
同プロジェクトは、インドネシア西スマトラ州南ソロック県で操業中のムアララボ地熱発電所を拡張して2号機を建設し、現在の設備容量85MWを169MWへと約2倍にまで拡大するもの。2027年の商業運転開始を予定しており、発電した電力は、2052年までインドネシア国営電力に売電する。プロジェクト規模は約5億米ドル。
同プロジェクトは、現地のSupreme Energyが20%、住友商事が50%、INPEX傘下のINPEX Geothermalが30%を出資。国際協力銀行(JBIC)もプロジェクトファイナンスでの融資を締結済み。融資額は、JBICが1億3,800万米ドルで、他に、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、百五銀行、アジア開発銀行(ADB)が参加し、全体で3.7億米ドル。民間金融機関の融資に対しては、日本貿易保険(NEXI)が保険を引き受けている。ムアララボ地熱発電2号機の地熱発電設備一式・エンジニアリングは、富士電機が受注している。
同事業に関し、環境NGOのFriends of the Earth(FoE)は、強制的な土地取得プロセス等による住民参加の欠如、水質汚染や水不足による農作物への影響、地熱開発区域で発生する有毒ガスによる公衆衛生と安全性へのリスク、地形の改変による洪水の影響に問題があると指摘している。
【参照ページ】Perkuat Kerja Sama Strategis Transisi Energi Melalui Skema AZEC, Indonesia dan Jepang Tandatangani Perjanjian Perkembangan PLTP Muara Laboh
【参照ページ】インドネシア・ムアララボー地熱発電拡張事業に対するプロジェクトファイナンス
【参照ページ】岸田文雄衆議院議員(総理特使)のインドネシア共和国訪問
【参照ページ】インドネシア・ムアララボ地熱発電事業とは?
【参照ページ】インドネシア ムアララボ地熱発電所2号機向け地熱発電設備の受注について
【画像】Supreme Energy
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