
欧州委員会は7月4日、中国からの電気自動車(EV)輸入に暫定的な相殺関税を課すことを決定した。個別関税率も最終決定した。7月5日から適用開始。期間は最長4ヶ月。
【参考】【EU】欧州委、中国EVメーカーに相殺関税発動へ。BYDは17.4%。テスラも(2024年6月13日)
欧州委員会は6月12日、中国当局との交渉が妥結できなかった場合に、中国からのEV輸入に対し相殺関税を課すと発表。今回の決定では、中国当局との交渉が妥結できなかったことを意味している。
関税率は、BYD(比亜迪)が17.4%、吉利汽車が19.9%、上海汽車が37.6%。同3社は、欧州委員会からの事前調査に協力した上でサンプリング調査の対象となっていた。また、事前調査に協力したがサンプリングされなかった他のEVメーカーに対しては関税率が20.8%。調査に協力しなかった他の全ての中国EVメーカーに対する関税率は37.6%となる。6月発表時との比較では、暫定関税はステークホルダーから提出された計算の正確性に関するコメントに基づき、若干下方修正された。
今回の暫定関税決定の後、EU加盟国は、EU官報掲載の14日以内に、書面手続きにより、単純多数決で暫定関税の当否に関する勧告的採決を行う。同時にステークホルダーは、暫定関税の発動から5日以内に、欧州委員会にヒアリングを要請し、発効から15日以内に意見を提出することができる。その後、欧州委員会は、ステークホルダーの意見を考慮した上で、最終的な関税案を開示する。その後にもステークホルダーは10日間の意見提出期間が設けられている。その後に欧州委員会は最終関税を決定する。
欧州委員会が決定した最終関税に対し、EU加盟国で構成するEU理事会と、欧州議会は、コミトロジー規則に基づく反対表明が可能。適格多数による反対があった場合には、欧州委員会の最終関税決定はやり直しとなる。最終関税の期間は5年。延長の法的措置も可能。
今回、テスラに関しては、反論意見を提出しており、最終関税設定時に個別に関税率を算出することとなる。事前調査に協力したがサンプリングされなかった他のEVメーカーは、特定の状況について調査を希望する場合には、最終関税の発動直後に、基本的な反補助金規則に従って、早期審査を求めることができる。審査の期限は、申請から9ヶ月以内。
【参照ページ】Commission imposes provisional countervailing duties on imports of battery electric vehicles from China while discussions with China continue
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