ビジネスの国連持続可能な開発目標(SDGs)推進国際NGOのWorld Benchmarking Alliance(WBA)と、国際的な環境情報開示推進NGOのCDPは11月14日、電力世界大手68社を対象としたサステナビリティ・ランキング「電力会社ベンチマーク2023」の回答結果概要を発表した。11月末に始まる国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)に向け、前出しして状況を伝えた。
電力会社ベンチマークは、2020年、2021年と続いて今年が3回目。8月に公表された調査メソドロジーによると、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書に基づく整合性に関する評価が60%、公正な移行20%、コア社会指標20%で構成されている。日本企業では、電源開発(Jパワー)、東京電力ホールディングス、関西電力、中部電力、東北電力、九州電力、中国電力が対象となっている。同ベンチマークの対象は世界全体で81社。
今回の発表に関する調査では、経年での評価対象となった68社のうち、風力発電と太陽光発電のシェアは2017年から2022年までの間に2倍の7%に到達。このペースでいくと2030年には7倍にまで至るとし、国際エネルギー機関(IEA)のネットゼロ・エミッション・パスウェイを上回ると伝えた。過去5年間に石炭火力発電を行った60社のうち、2022年の石炭燃焼量は2017年よりも65%減少。イベルドローラとSSEの2社はすでに石炭火力発電を全廃している。
但し、風力・太陽光発電部門の導入速度は、さらに加速する必要があり、国際エネルギー機関のネットゼロ・エミッション・パスウェイに沿ったカーボンニュートラル目標を掲げている企業はわずか15%にとどまった。石炭火力発電を行っている企業のうち、段階的廃止を計画している企業も43%だった。
電力会社ベンチマーク2023では、1位がオーステッド、2位がEDP、3位がエネルで、上位10社までは欧州勢が占めた。その中でトップ3とそれ以外のスコアの開きは大きいという。順位等の詳細については今後発表する予定。
公正な移行のスコアでは、トップのSSEでも20点満点中12.5点にとどまった。セクター全体の平均スコアは3店だった。
【参照ページ】As COP28 approaches, research shows world’s electric utilities companies are progressing towards a renewable energy transition but pace of change is too slow
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