Grant Thornton社が先月公表した2,500社以上の企業を対象とするサステナビリティに関する調査レポート” Sustainability: Changing The Debate In Emerging Markets”によると、ラテンアメリカやアフリカといった新興市場の企業は、北米やヨーロッパなど先進国市場の同業他社と比較すると約2倍もサステナビリティが事業の成長にとって重要だと考えていることが分かった。
同レポートによると、ラテンアメリカ企業の64%、アフリカ企業の51%が事業の成長に再生可能エネルギー資源が重要であると考えているのに対し、ヨーロッパ企業では30%、北米企業では26%にとどまっている。
また、自社およびサプライチェーンにおける原材料の調達についても、ラテンアメリカ企業・アフリカ企業の65%が重要だとする一方で、ヨーロッパ企業では30%、北米企業では40%にとどまっており、新興国市場と先進国市場で意識に大きな差がある結果となった。
今回の調査結果を受けて、Grant Thornton社のエネルギー・クリーンテクノロジー部門でグローバル責任者を務めるNathan Goode氏は「これらの結果は、サステナビリティをめぐる議論の潮流を変える必要があるという事実を強調している。新興国企業のサステナビリティへの関心は、成長における資源強度や既に起こっている気候変動の影響などを含む様々な要因に基づいている。彼らは急速に進化してきているグリーンテクノロジーへの投資を求めている。というのも、従来のエネルギー源の供給がより不安定になっているからだ。新興国市場における機会は非常に大きく、議論の焦点はもはや『やるかどうか』ではなく『どのようにやるのか』という点に当てられるべきだ」と述べた。
同レポートからは、新興国市場で事業を展開する企業はエネルギーや原材料調達のコストや安定性、サステナビリティに対して強い関心を持っていることが分かるが、これはGoode氏が指摘する通り、新興国では既に事業成長における資源の枯渇可能性や気候変動などの課題が顕在化しているためだ。
また、同氏は「この調査結果は、多くの新興国の政治家らが彼らの最優先課題を貧困の撲滅だ、と主張し続けている点といくぶん矛盾している。しかしながら、新興国の経済成長は、水のような枯渇しつつある資源をどのように管理するかということにますます依存するようになってきており、もはやサステナビリティと貧困のどちらに焦点を当てるべきかという選択肢は無い。この2点は相互に依存している。新興国の企業は、エネルギーや原材料のコスト、入手可能性、サステナビリティが彼らの成長にとって欠かせないものであることを教えてくれており、我々はそれらの声に耳を傾けるべきだ」と指摘する。
サステナビリティというと欧米の先進企業による取り組みがクローズアップされることが多いが、実際の経営者の関心は先進国よりも問題がより顕在化している新興国で高まってきている点が興味深い。新興国市場においては、資源やエネルギーのサステナビリティ向上に向けた新たな市場と機会が生まれつつあることを示唆している。
【レポートダウンロード】Sustainability: Changing The Debate In Emerging Markets
【リリース原文】Global survey highlights growing business focus on sustainability in emerging markets
【企業サイト】Grant Thornton
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