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【アメリカ】2050年までに80%の温室効果ガス削減は可能。

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米国が2050年までに80%の温室効果ガスを削減することは可能。その道筋を示す最新の報告書が公表された。

UN Sustainable Development Solutions Network(SDSN)、パリに本拠を置く非営利調査機関のThe Institute for Sustainable Development and International Relations(IDDRI)らが主導する脱炭素社会の実現に向けた国際プロジェクト、Deep Decarbonization Pathways Project(以下DDPP)は、先日公表した報告書”Pathways to deep decarbonization”の中で、米国はどのようにすれば2050年までに温室効果ガスを80%削減することができるか、その具体的な道筋を示した。

米国が掲げる「2050年までに温室効果ガス排出量を80%削減する」という目標は、地球温暖化を2℃以内に抑えるという国際的な合意の実現に向けた長期政策だ。先日の米国と中国による気候変動対策に向けた歴史的な合意の中でもオバマ大統領は“80 by 50 goal”について繰り返し強調している。

同報告書の公表にあたり、コロンビア大学地球研究所所長を務めるSDSNのJeffrey Sachs氏は「この報告書は、2050年までの80%削減は十分に実現可能で、様々な手法により達成できることを示している。この報告書は来年12月にパリで行われる国連気候変動枠組み条約の交渉に向けて確固たる前提を提供している」と語った。

同報告書はSDSN、IDDRIが中心となり、U.S. Department of Energy’s Lawrence Berkeley National Laboratory(Berkeley Lab)、Pacific Northwest National Laboratory(PNNL)サンフランシスコに拠点を置くコンサルティング会社のEnergy and Environmental Economics Inc.(以下、E3)の研究者らによって作成されたものだ。

E3でチーフ・サイエンティストを務めるJim Williams氏は「この報告書は、米国は現在のインフラを大きく変えなくても2050年までに温室効果ガスを劇的に削減することが可能であることを示している。さらに、同報告書の分析による経済性予測は意図的に保守的なものとなっており、大規模な脱炭素化であってもそれほど高くはつかないことを示している」と語った。

同報告書では、脱炭素に向けた各国共通の戦略として下記の3つを挙げているほか、再生可能エネルギー、核エネルギー、化石燃料エネルギーと炭素貯留技術、そしてそれらの複合、という4つの異なるエネルギーによる電力供給を前提とした低炭素化シナリオを分析しており、これらのシナリオは1990年と比較して80%の削減、2005年と比較して83%の削減を見込んでいる。

  • Energy efficiency and conservation(エネルギー効率向上と節約)
  • Low-carbon electricity(電力の低炭素化)
  • Fuel Switching(最終消費における低炭素電力への切り替え)

カルフォルニア大学バークレー校のエネルギー・資源研究部門、Berkley Labの共同代表を務め、今回の報告書の共著者でもあるMargaret Torn氏は「我々がテストした4つのシナリオは全て経済成長を前提としている。これらのシナリオは経済成長に伴う需要を十分に満たすものだ」と語った。

今回の報告書により、米国は2050年までに温室効果ガスを80%削減するという目標の実現に向けた具体的な道筋を手にした。目標の実現に向けて今後政府や企業がどのように脱炭素社会への移行と経済成長の両方を実現していけるか、その実行面に期待がかかる。

【レポートダウンロード】Pathways to Deep Decarbonization
【参照リリース】New Report Shows How U.S. Can Slash Greenhouse Emissions
【団体サイト】United Nations Sustainable Development Solutions Network

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