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【中国】ICTを活用して教育にイノベーションを。ヒューレット・パッカードの取り組み

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今、中国では企業、行政、国連の連携によりICTを活用した静かな教育革命が始まっている。

米国IT大手のヒューレット・パッカード(以下、HP)は今から3年前の2012年4月、中国の教育環境向上を目的としてEducation Innovation Fund in China(中国教育イノベーション基金)を設立し、浙江大学および中国UNESCO委員会に100万USドルを寄付して中国の教育改革支援に取り組み始めた。

中国の教育現場は他の途上国と同様、情報技術の発展に伴う恩恵を享受しきれておらず、特に地方部では識字率の低さ、不十分な教育環境、教員の質の低さなど様々な問題を抱えている。これらの問題を解決するためにHPが取り組み始めたのが、同社のICT技術を活用した教師への教育だ。

そして活動開始から2年が経過し、同社の取り組みは大きな成果を見せ始めている。浙江大学では、HPから提供された資金を活用して新たに教師向けの教育プログラム、ELITEプログラムを開発し、ITを活用して生徒のSTEM(Science・Technology・Engineering・Math)能力を向上させるための革新的な教授方法を教育している。

中国では同プログラムを通じて既に浙江省、四川省、雲南省の都市部や農村部にある500以上の学校で5,000名以上の教師がトレーニングを受けており、草の根から改革が起こり始めている。

上記の動画は実際の取り組みの様子だ。ナレーターを務めているのは中華人民共和国教育部に務めており、UNESCOのSecretary General of Chinese National Commission であるDu Yue氏。

都心部、農村部の両方で教員の質や設備など様々な教育課題が山積している中国において、貧困に悩む多くの人々が成功を収めることができる唯一の手段は、勉強することだ。人々を不十分な教育と貧困という負のスパイラルから救うべく、中華人民共和国教育部はUNESCOおよびHPとの協力を通じて、中国の教育システムの変革に取り組んでいる。

HPのプログラムではICTを教育カリキュラム、教室、そして学校全体に取り入れることで、新しい革新的な教育法の開発を目指している。「子供たちが教室、そして学校の中心になるべきだ」というのがDu氏の考えだ。

Du氏は教師への教育を特に強調しており、 教育システムの改革を成功させるためにICTの正しい活用と教員の積極的な参加が非常に重要だと強調する。「このプロジェクトに参加している全ての教師がHPから提供された新しい技術にとても満足しており、自らの指導力向上に役立てようとしている」と同氏は語る。

昨今では教育の分野でもICTを活用したイノベーションが目覚ましいが、ICTへのアクセス格差が教育の機会格差につながり、結果として更なる所得格差につながる状況は決して望ましいとは言えない。

これらの問題を解決するために自社の強みを活かして負の連鎖を断ち切ろうとするHPの取り組みは優れたCSRの実践事例だと言える。また長期的な視点に立ってみれば、13億人の市場を抱えて経済成長を続ける中国においてHPのブランドを浸透させることは事業上の意義も大きい。

【参考サイト】HP Education Innovation Fund in China helps spark transformative change
【企業サイト】HP

(※写真提供:Ken Wolter / Shutterstock.com

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