世界29カ国のミレニアル世代(1982年以降に生まれた若者)の企業に対する考え方に関する興味深い調査結果が発表された。デロイト・トーマツが1月21日に公表したミレニアル世代の意識調査レポート”The Deloitte Millennial Survey 2015”によると、彼らは企業の製品(Product)や利益(Profit)だけではなく、人材に対する考え方(People)や明確な事業目的(Purpose)の有無を重視していることが分かった。また、その傾向は新興市場よりも先進国市場において顕著だった。
同調査によれば、ミレニアル世代の4人に3人が、現状の企業は社会への貢献よりも自社の利益を優先していると回答したとのことだ。デロイト・トーマツのCEOを務めるBarry Salzberg氏は今回の調査結果を受け「50年前、20年前、さらに10年前と比較すると、ミレニアル世代が企業に対して求めるものが劇的に増えている。とりわけ先進国市場においては、企業は彼らとの関わり方を変えない限り、置き去りにされる可能性がある。社会に対する事業目的を明確にする企業になるには、リーダーシップを再定義するところから始める必要がある」と語った。
今回の調査結果の主たるポイントは下記の通り。
- ミレニアル世代の6割が企業の事業目的を現在の就職先を選んだ理由の一つに挙げている。また、特にSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用度が比較的高い層(77%)のほうが低い層(46%)よりもその傾向が強い。
- ミレニアル世代は、テクノロジー・メディア・通信(TMT)関連企業が一番価値のあるスキルを提供し、最も魅力的な就職先だと考えている。最先端を走る先進企業として、最も多く挙がったのはAppleとGoogleだった。
- 男性(59%)のほうが女性(47%)よりもリーダーの地位に就きたいと考えている。しかしながら、リーダーとして何に力を入れたいかという問いに対しては、男性(30%より女性(34%)のほうが、ミレニアル世代が現在の組織では不足していると指摘している「人材育成」に力を入れると回答した。
- ミレニアル世代の72%が、現在所属する組織は彼らのスキルを最大限に引き出しきれていないと考えており、企業はより人材育成に力を入れるべきだと考えている。
- ミレニアル世代のリーダー観は変わりつつあり、彼らは人脈が豊富(17%)でスキルも高い(17%)人物よりも、戦略的に思考し(39%)、人を鼓舞するのが得意で(37%)、親しみやすく(34%)、ビジョン(31%)を持った人物を理想のリーダーだと捉えている。
企業が将来に渡って持続可能な形で競争力を維持するためには、10 年後、20年後に企業の中核を担う世代となるミレニアル世代の採用、育成が欠かせない。彼らを惹きつけるためには、利益の追求だけではなく、事業を通じてどう社会に貢献したいのかという明確なPurpose(目的)を示す必要があり、その有無が優秀な人材を採用する上での鍵となりつつある。
同調査の詳しい内容は下記からダウンロード可能。
【レポートダウンロード】The Deloitte Millennial Survey 2015
【企業サイト】Deloitte Touche Tohmatsu Limited
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